強い回復力の米国株市場、上昇基調復活には「買いの継続」がポイント

 同様に、NYダウ平均株価の週足チャートも見ていきます。

■(図3)米NYダウ(週足)ボリンジャーバンドとMACD(2021年6月25日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウは、何度か崩れかかる場面がありながらも、「バンド・ウォーク」の上昇基調を長期間継続していることが分かります。

 こうした相場展開は、大きな陰線が出現しても、翌週にはそれを打ち消す大きな陽線が出現することによって維持されてきました。つまり、「回復力」の強さがカギとなっているわけです。足元でも、バンド・ウォークの範囲である+1σ(シグマ)水準を回復させています。

 とはいえ、下段のMACDはこれまでよりも明確に、MACDがシグナルを下抜けており、再び上昇基調に戻すには買いの継続がポイントになります。

■(図4)米NASDAQ(週足)とMACD(2021年6月25日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 買いの継続については、米NASDAQも同じです。上の図4は前回のレポートでも紹介したのですが、先週のNASDAQは最高値を更新し、「三角もちあい」を上抜けてきました。下段のMACDもシグナルとの上抜けクロスしそうな状況でもあります。

 今週の米国では、6月雇用統計以外にも、4月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数や、6月ADP全米雇用リポート、6月ISM製造業景気指数などの経済指標の発表が予定されていますが、先日のFOMCでFRB(米連邦準備制度理事会)のタカ派姿勢への意識が強まっていることもあり、これらの結果が良好過ぎても、利上げやテーパリング(量的緩和縮小)が早まるとの警戒が強まりやすくなるかもしれません。

 したがって、前回のレポートでも指摘したように、「少し先の金融政策よりも、足元の業績動向」に着目した買いの強さが試されることになります。今週の国内では、7月1日(木)に日銀短観が公表されるほか、ニトリHDやJ.フロント リテイリングなど、小売業の決算も予定されています。

 先週の国内株市場でも、ニトリHDやメルカリ、川崎汽船など、業績観測報道や業績の上方修正を受けた銘柄がしっかりと値を上げていたこともあり、日銀短観の結果が追い風となれば、銘柄物色の動きが活発になることも期待できます。

 ただし、週末の7月4日(日)には東京都議選の投開票日という、読みにくい政治イベントが控えているほか、最高値を更新する米株市場の上昇に日本株がついていけていない面があるのも気掛かりです。

 先週末25日(金)の米国株はNYダウが200ドル以上上昇したほか、S&P500も最高値を更新した一方で、日経225先物の価格は小幅安となっています。