2022年テーパリング、2023年利上げを織り込む金融市場

 米景気が好調を通り過ぎて、一気に過熱する不安が出ています。ワクチン接種率が高まり、リベンジ消費が盛り上がる中で、1.9兆ドルの財政出動も出てくることから、以下の通り、米国の非製造業の景況観は、コロナ前を超えています。

米ISM製造業・非製造業景況指数:2018年1月~2021年5月

出所:米ISM供給管理公社より作成

 金融市場の不安を高めているのは、足元米国でインフレ率が急速に高まっていることです。

米国消費者物価指数上昇率(前年比):総合指数と、食品・エネルギーを除くコア指数

出所:ブルームバーグより作成

 先週、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦準備制度理事会)で、FRBは2023年に2回の利上げがあるという予想を発表しました。3月のFOMCでは、2023年まで利上げはなしの予想を出していたので、急な方針変更です。

 パウエルFRB議長は、FOMC後の記者会見で、テーパリング(金融緩和の縮小)の議論を始めることを認めました。FRBの資金供給「大判ぶるまい」が終了する懸念から、NYダウは下落しました。

 2022年後半から2023年にかけて、利上げが見込まれるようになったことを受けて、米国の2年・5年金利は上昇。一方、金融引き締めが実際に行われれば、米景気にブレーキがかかることを反映し、10年金利は上昇しませんでした。

米長期金利10年・5年・2年・1年の動き:2021年1月4日~6月18日

出所:QUICKより作成