為替DI:6月のドル/円、個人投資家の予想は?

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

「6月のドル/円は、円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券が先月末に実施した相場アンケート調査によると、回答を頂いた個人投資家6,304人のうちの約43%(2,692人)が、6月のドル/円は「ドル高/円安」に動くと予想しています。先月に比べて、円安見通しが増えています。

 一方で「ドル安/円高」は19%(1,220人)まで減りました。「動かない(わからない)」は38%(2,392人)でした。

 5月のドル/円は、7日につけた108.38円が安値。米国の4月雇用統計が予想を大きく下回ったことがドル売りにつながりました。

 しかし、ワクチン接種が順調に進む米国では経済活動正常化へ向けた期待が強く、FRBが今後数カ月以内に緩和縮小の議論を開始するとの憶測が広がるなかで、月末に110円までドル高/円安が進みました。

 バイデン大統領は、アメリカ独立記念日の7月4日までに、少なくとも1回の接種を受けた成人の割合を70%以上にする目標を掲げています。日本の菅首相も全速力で国民接種を推進しています。

 結局、今はワクチンなのです。緊急事態宣言による外出制限で、日本の感染者は一時的に減りました。しかし解除した途端に感染が再拡大。

 そしてまた外出制限に逆戻り。こんなことを延々に繰り返すつもりだったのでしょうか。負のループを断ち切るには、ワクチンしかないことは最初からわかっていたはずです。

 では、ワクチンが行きわたった後の世界経済はどうなるのか? 力強い景気回復と共に抑圧されていた消費が一気に爆発して、狂乱物価時代がやってくるのでしょうか。

 あるいは景気停滞が長期間続くのか。最初は経済再開と物価上昇がセットでやってくると予想する人の方が多かったです。しかし、今では見方が分かれています。

 ワクチン接種を終えたからといって、人々の生活はそんなに簡単に元通りにならない。変異株が現れるなかでウイルスに対する恐怖を完全に消すことはできない。などという意見が増えていて、コロナ後の人々の行動パターンの予想は難しくなっています。

 ただ、夏に向けては解放感から、消費が爆発的に拡大する可能性は高いといわれています。供給が需要急増に追いつけず、モノ不足からインフレが一時的に跳ね上がります。

 それに反応して異常に低い状態に置かれていた金利が大幅上昇。しかし中央銀行はインフレ放置だから利上げはしません。

 低金利継続と消費回復を追い風にして株式市場の活況が継続するでしょう。一方、金利差による「ドル買い」と、リスクオンによる「ドル売り」に挟まれて、ドル/円はレンジ相場が継続すると考えます。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券の相場アンケート調査によると、個人投資家の34%が6月のユーロ/円は「ユーロ高/円安」に動くと予想しています。先月は26%でした。

 5月のユーロ/円は、2年3カ月ぶりの134円台までユーロ高が進みました。それに伴いユーロ高予想も増えたようです。「ユーロ安/円高」は15%まで減っています。しかし、最も多かった回答は「動かない(わからない)」の 51%でした。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成

 楽天証券の相場アンケート調査によると、個人投資家の28%が6月の豪ドル/円は「豪ドル高/円安」に動くと予想しています。先月は23%でした。

豪ドル安/円高」に動くは15%。最も多かった回答は相変わらず「動かない(わからない)」で57%でした。