金額のバランスで、リスク管理の奥行きは深まる 

 理屈としていえば、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や、つみたてNISAの枠は使い切ることが優先課題といえます。税制優遇は月単位、あるいは年単位で消滅し過去の税制優遇のチャンスを遡及(そきゅう)して活用することはできないからです(昨年のiDeCo枠を今年使って2年分を入金するようなことは不可能)。 

 しかし、自分の資産に占める投資割合が過剰になる恐れがあるなら、満額を入金することにこだわる必要はありません。むしろ、リスク資産への入金額を加減し、定期預金の積み立ても心がけるほうが重要です。 

 投資部分だけでリスクをコントロールする発想は旧時代のものです。「オレは○万円で○万円稼いだ!」というような感覚は、投資金額だけに着目しているから出るものです。 

 積み立て投資の時代、長期投資の時代には、「預金の積み立て」+「投資の積み立て」のバランスを意識することで、リスクのバランスを調整していくことがカギとなります。 

 簡単なことを言っているようですが、「すでにある預金額」+「預金の積立額」+「投資の積立額」の3要素を意識しながら、数年後の投資割合をマネジメントするのはなかなか奥が深いものです。そして、個人ごとのニーズに応じた調整の余地は相当あります。 

「自分は何割くらい、投資をしてもいいのか」というイメージづくりをまずしておき、それに近づき、ズレないよう積立額のバランス調整をしてみてください。