Let’s Dance

 FOMC(米連邦市場委員会)議事録が公表されて気づいたことがあります。それは、米国の金融政策当局はもはや、新型コロナを脅威とは考えていないこと。少なくとも、米経済に関して新型コロナはメインテーマから外れているということです。

 3月の時点で、FOMCメンバーの注目はすでに新型コロナの感染率からワクチンの接種率へと移っていました。FOMC議事録(3月16-17日開催分)では、「ワクチン接種でソーシャルディスタンスが一段と緩和する」、「米経済の先行きはワクチン接種の進展に大きく依存する」など、10ヵ所以上にわたり「ワクチン接種」のキーワードが繰り返されています。

 今回の4月のFOMC議事録(4月27-28日開催分)議事録では、ワクチンも「卒業」。米国のコロナ感染者は人口比9.82。対して 日本は0.45。しかし、ワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は、米国48.2%に対して日本はまだ4.4%(5月21日時点)。景気悪化の理由は経済制限。経済制限の理由はワクチン接種の遅れ。米国のワクチンの普及が順調であるため、FOMCにとっては、経済制限は最大の懸念材料ではなくなりました。関心の的はその先、経済の過熱が起こすインフレ、そしてその対策としての緩和縮小へと移っています。

 日本の大規模ワクチン接種センターは今日から始まります。米国に遅れをとったことは、第1四半期の日米の経済成長率の差が示しています。これからの日本の劣勢挽回に期待したいです。