今日のレンジ予測

[本日のドル/円]

上値メドは109.40

下値メドは108.35

景気悪化の理由は経済制限。経済制限の理由はワクチン接種の遅れ

 21日(金曜)のドル/円は、やや円安。高値109.00円、安値108.61円、1日の値幅は0.39円。
この日は108.72円からスタート。欧州時間前半に下げるも安値は108.61円までと浅く、NY時間には反発して一時109.00円をつける場面もありました。

 しかし売りも厚い。110円近辺にあった売り勢力は109円台半ばから前半まで南下している模様。終値は108.94円(前日比+0.15円)。この日はやや円安に戻ったものの中途半端に終わりました。

 5月のドル/円は、雇用統計後の108.33円が安値、CPI後の109.79円が高値。5月14日以降このレンジは抜けていません。安値と高値の中間値は109.06円で先週末はほぼ中立レベルに戻りました。

 21日のユーロ/円は、ユーロ安。高値 133.21円、安値132.53円、1日の値幅は0.68円。
この日は132.93円からスタートして、19日につけた年初来高値133.44円を目指して上昇。しかし133.21円で失速すると欧州時間には132.53円まで下押し。132.50円近辺で待っていた買いに跳ね返されて終値は132.70円(前日比▲0.31円)終値比では下げましたが、まだ堅調イメージ。

 5月のユーロ/円の高値は133.44円で、2018年4月以来3年ぶりの高値。安値は130.98円。中心値は132.21円。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成
出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成

 

主要指標 終値

出所:楽天証券作成

今日の一言

成功したければ将来を予測しなければならない – ジム・ロジャース

Let’s Dance

 FOMC(米連邦市場委員会)議事録が公表されて気づいたことがあります。それは、米国の金融政策当局はもはや、新型コロナを脅威とは考えていないこと。少なくとも、米経済に関して新型コロナはメインテーマから外れているということです。

 3月の時点で、FOMCメンバーの注目はすでに新型コロナの感染率からワクチンの接種率へと移っていました。FOMC議事録(3月16-17日開催分)では、「ワクチン接種でソーシャルディスタンスが一段と緩和する」、「米経済の先行きはワクチン接種の進展に大きく依存する」など、10ヵ所以上にわたり「ワクチン接種」のキーワードが繰り返されています。

 今回の4月のFOMC議事録(4月27-28日開催分)議事録では、ワクチンも「卒業」。米国のコロナ感染者は人口比9.82。対して 日本は0.45。しかし、ワクチンを少なくとも1回接種した人の割合は、米国48.2%に対して日本はまだ4.4%(5月21日時点)。景気悪化の理由は経済制限。経済制限の理由はワクチン接種の遅れ。米国のワクチンの普及が順調であるため、FOMCにとっては、経済制限は最大の懸念材料ではなくなりました。関心の的はその先、経済の過熱が起こすインフレ、そしてその対策としての緩和縮小へと移っています。

 日本の大規模ワクチン接種センターは今日から始まります。米国に遅れをとったことは、第1四半期の日米の経済成長率の差が示しています。これからの日本の劣勢挽回に期待したいです。

今日の注目通貨:ドル/円、「ドル弱気」

 先週のドル/円は、FOMC議事録公表後に、108.57円(先週の安値)から109.30円までドル高/円安に戻しました。一部のFOMCメンバーが「緩和縮小」の検討を主張していたことが明らかになって、ドルが買われたからです。しかしドル高は続かず。ドル/円はすぐに失速して108円台に逆戻りしました。

 FOMC議事録後のドル高がすぐに勢いを失った理由は、これが新たな「ドル買い」ポジションをつくる動きではなく、「ドル売り」ポジションの調整的買い戻しにすぎなかったと考えることもできます。マーケットは「ドル弱気」派が多数で、タカ派的なFOMC議事録も考えを変えるほどではなかった。今週はまず「ドル弱気」の立場からマーケットをフォローしたいと思います。

出所:MarketSpeed FXより、楽天証券作成