中国市場・いま注目すべきは保険、医療サービス

 今回の注目セクターは保険、医療サービスです。いま、政府が真っ先にやらなければならないのは高齢化社会への対応です。

 中国は、年金、医療保険、老後に備えた資産形成などの面ではまだ、発展途上にあります。保険会社の使命は大きいと言えましょう。年をとれば、病気にかかりやすくなります。医療サービスの充実も欠かせません。具体的な銘柄は以下の通りです。

注目の中国株1:中国人寿保険(02628)

 中国最大の生命保険会社、最大規模クラスの機関投資家であり、財政部が過半数の株式を保有する超大型国有企業です。部門別売上構成(2020年12月期)では、生命保険が60%、健康保険が14%、傷害保険が2%、投資収益が19%、その他が5%です。

 2021年1-3月期業績は11%増収、67%増益でした。前年のコロナ禍の反動もあり、保険料収入は5%増えています。投資収益が43%伸びたことで大幅な増益を達成しています。

 保険会社の収益構造は特殊です。ここではあくまでも長期の視点から、同社の中核事業である生命保険の成長性、国策企業としての総合的な成長性、安定性を評価したいと思います。

注目の中国株2:中国平安保険(02318)

 生命保険では業界第2位、損保でも業界第2位。保険事業に加え、証券、事業投資も行う総合的な金融サービス会社です。深セン市人民政府の投資会社が5%ほど株式を保有していますが、経営実態は完全に民営企業です。

 純利益の部門別状況(2020年12月期)を見ると、生命保険、健康保険が66%、損害保険が11%、銀行が12%、信託が2%、証券が2%、その他の資産管理運用が4%、ハイテク事業が6%、部門間相殺などが▲3%です。2021年1-3月期業績は3%増収、4%増益でした。

 保険ビジネスは昨年行われた車両保険改革などによって不振でしたが、投資収益が急増したことで、全体として増益を確保しました。経営陣は早くから欧米企業を模した経営を行っていて、フィンテックへの投資を積極的に行うなど革新的な金融サービス会社です。

 総合的な金融ビジネスを展開していることによる優位性や、ハイテク分野への投資がうまくいっていることなどが評価ポイントです。