日本化する中国?労働年齢人口が減少

 国家統計局は5月11日、第7回国勢調査の結果を発表しました。

 下のグラフは、調査結果でもっとも重要な部分、人口構成について示したもので、2020年11月1日時点と前回の調査が行われた2010年11月1日時点とを比較したものです。

人口構成比の比較

出所:中国国家統計局データより筆者作成

 総人口は現時点でも増え続けています。しかし、労働年齢人口は2011年にピークを打ち、9年連続で減少しています。その結果、労働年齢人口の比率が大きく低下しているのです。

 10年ほど前までは、成長目標の話になると必ずと言っていいほど“保八”という言葉が出てきました。“人口が増加するので需要が拡大する。一方で、労働年齢人口も増加するのだから職を増やさなければならない。

 そのためには最低でも8%の成長が必要だ”といった意味です。さらに付け加えると、都市への人口集中が進行しているので、その部分でも仕事を作り出してやらなければなりません。

 ですが、今となっては労働年齢人口が減っているので就業圧力はずいぶんと小さくなっています。人口の伸びが低くなってきたので、生活が年々豊かになっていると感じるために必要な需要の増加分、言い換えると成長目標も、小さくて済むのです。

 ただし、労働年齢人口比率が小さくなっているので、彼らは今まで以上に効率的にモノやサービスを作り出さなければなりません。

 つまり、“生産性を上げろ”という話です。省力化投資が必要であったり、産業構造のより柔軟で素早い転換が必要であったりします。もちろん、イノベーションも必要です。だから中国は、量よりも質を重視した経済発展を目指さなければならないのです。