「頭と尻尾はくれてやれ」とはどういう意味か?

 株式投資の世界では、昔から語り継がれている有名な投資格言というものが数多くあります。これらは現代でもとても示唆に富み、参考になるものばかりで、ぜひ個人投資家の皆さんにも知っておいてもらいたいものです。

 今回ご紹介する「頭と尻尾はくれてやれ」も極めて有名なものです。株価が底を打って天井をつけるまでの動きを魚に見立てます。

 底で買って天井で売る、つまり魚の頭から尻尾まで1匹まるごと食べるのが最も理想的です。ところが実際に株式投資をしてみると分かりますが、底値で買って天井で売ることなど、まずできません。

 頭も身の部分も尻尾も全て食べようとすると、結局はうまくいかない、だから頭の先(=底値)で買おうとか尻尾の先(=天井)で売ろうとは思わないようにしよう。底値を確認してから少し高いところで買い、天井を確認してから少し安くなったところで売れば十分だ、ということをこの格言は表しているのです。

初心者が陥りがちな誤った考え方とは

 ただ、株式投資を始めたばかりの初心者の方はこの投資格言を聞いてもおそらくピンとこないと思います。だから底値で買い、天井で売ることを無意識のうちに目指してしまいます。

 でも、これは誤った考え方であることが、実際に株式投資をしてみるとすぐ分かると思います。

 何しろ、底値だと思って買ったらさらに株価は下がってしまう、天井だと思って売ったらさらに株価は上がってしまう……という事態が続出してしまうはずだからです。

 ですから、まずは「底値で買おう」「天井で売ろう」とは思わず、多少高くなってから買えばよい、売るのも少し下がってから売ればよい、と割り切ることが重要です。