底打ちが確認できてから買う

「頭と尻尾はくれてやれ」という意味は何となく分かったと思いますが、具体的にどうしたらよいかを知らなければ、実践で活用できません。その方法をこれから説明します。

 頭と尻尾はくれてやれ、というのは、言い換えれば「株が下がっている途中に買わない」「上がっている途中に売らない」という意味です。ですから逆張りではなく順張りをしましょう、ということです。

 多くの個人投資家は逆張りをしています。株価が大きく下がると「今が買い時だ!」と買い向かう人が多くいます。その後ほどなくして株価が反発すればよいのですが、本格的な下げ相場になると、買ったあとにさらに大きく株価が下がってしまうことがよくあります。

 どんなに株価が大きく下がったとしても、下がっている途中はまだ底値は確認できていないのです。底値が確認できるのは、例えば25日移動平均線を下回ってずっと下げ続けていた株価が下げ止まって反発に転じ、25日移動平均線を上回ったタイミングです。

 株というものは、時に私たちの想像をはるかに超えた動きをします。さすがに下げ過ぎだろうと思うところからさらに大きく下がることもあるのです。

 ですから株価が大きく下がって魅力的な株価水準になったとしても、株価が下げ止まって上昇に転じるまでは手を出さないようにするべきというのが筆者の考えですし、筆者は実際そのようにして大失敗を回避してきました。

売るのも天井が確認できたらが原則

 持っている株を売るときも同様の考え方です。株価が上昇している途中に「そろそろ天井だろう」と思って売ると、そこから株価がさらに2倍、3倍と上昇して悔しい思いをすることが多々あります。

「頭と尻尾はくれてやれ」の解釈として、株価が上昇している途中に欲張らずにほどほどの利益で売るべきだ。そこから株価がさらに上がったとしてもそれは尻尾の部分だからくれてやればよい、という説明をよく見かけます。しかし筆者はそれとは異なる見解です。

 どこまで下がるか分からないのと同様、どこまで上がるか分からないのも株の特徴です。いったい誰が、2020年3月のコロナ・ショックで安値を付けた後、日経平均株価があっという間に3万円の大台を突破すると予想できたでしょうか。

 ですから、株価が上昇している途中に「尻尾はくれてやれ」と思って売却すると、尻尾どころかほとんど身の部分すら食べることができなかった……という羽目になりかねません。

「利食い千人力」という言葉もありますから、利益を確保すること自体はとても重要なことです。でも、株価が上昇している途中に保有株を売るのであれば、株価がそこから仮に3倍、5倍、10倍になったとしても後悔しない、という気持ちをもって実行するようにしてください。