4月の米雇用統計は市場予測より弱い

 7日発表の、4月の米雇用統計は、市場予想より弱く、米長期金利が一時1.47%まで低下しました。ただし、その後、再び1.57%まで上昇しています。

【1】雇用増加が26万6,000人に留まる
 4月の非農業部門雇用者数は、前月比で100万人程度の増加が予想されていました。ところが、実際には26万6,000人に留まりました。また、3月の雇用者数(前月比)は77万人増と、前月発表の暫定値(91万6,000人増)から下方修正されました。

米雇用統計・非農業部門雇用者増加数(前月比):2019年1月~2021年4月

出所:米労働省

【2】失業率は0.1ポイント悪化の6.1%

 4月の完全失業率は6.1%で、3月の6.0%から0.1%悪化しました。

米雇用統計・完全失業率:2014年1月~2021年4月

出所:米労働省

 景気指標が市場予想よりも弱いというのは、通常ならば、株にとって悪材料となるところです。ただし、現在の米国株では事情がやや異なります。

 年後半に米景気が過熱するリスク、米長期金利が上昇するリスクが警戒されていることが、米国株の弱材料となっているところなので、4月の雇用統計が弱かったことは、米国株にプラス材料となりました。

 一気に過熱することなく、時間をかけて回復していく方が、今の米国株にとっては都合が良いことになります。なぜならば、米国株では景気循環と株価・金利循環について、以下の関係が成り立つことが多いからです。

景気循環と、金利・株価循環の関係

出所:筆者作成