NASDAQ:7日(金)にグロース株が買い戻されたことで持ち直す

 最近の株式市場では、金利上昇の観測が高まると、IT・ハイテクなどのグロース株や中小型株に資金が向かいづらくなる傾向がありますが、実際に、米雇用統計の結果を受けた週末7日(金)の取引ではグロース株が買い戻され、米NASDAQが持ち直しを見せています。

■(図4)米NASDAQ(日足)とMACD(2021年5月7日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NASDAQは75日移動平均線をサポートに反発し、5日移動平均線を超えてきました。下段のMACDのクロスはまだ意識されるほど改善はしていませんが、引き続き今週も買いが入り続けることができるかがポイントになります。

 トレンドとしては、下値を切り上げる線と上値を切り上げる線との範囲内が当面の想定レンジです。とりわけ、上値の線については、チャートをさかのぼると、2月までの上昇局面でのサポートラインとして機能していたため、サポートから抵抗の線へと意味合いが変化していることが分かります。

 このように、先週の米国株市場の動きからは、経済回復の強さと金融緩和継続期待の「いいところ取り」が再び強まりそうなムードが感じられます。

 ただし、物価の上昇やそれに伴う金利上昇懸念は、今後も株式市場の材料となる場面が増えそうですし、その場合、物価上昇が金融緩和と共存可能な範囲にとどまるのか、一時的なものになるのかが焦点になります。

 確かに、物価の上昇は米国経済の強さの証左ではありますが、経済の急回復によって、あらゆるものが供給不足になり、実際に、足元では原材料価格が上昇しています。

 米国では需要増による「ディマンドプル」型の物価上昇のため、最終商品の値上げなど価格転嫁である程度の対応が可能と思われる一方、出遅れている日本などでは、需要が増えない中で原材料価格上昇の影響を受ける「コストプッシュ」型の物価上昇となり、悪影響が懸念されます。

 また、これまでは「グロース株からバリュー株」へという資金の流れがありましたが、企業決算が一巡しつつあるタイミングでもあることや、株式市場の割高感もあり、資金がコモディティ(商品)や仮想通貨などへ流れる可能性があります。「リスクが取れるうちはよりもうかりそうなところへ資金が向かう」というリクツです。

 出遅れている日本株も資金が向かう対象として考えられるため、ある程度の株高を演じるかもしれませんが、国内の新型コロナウイルスの感染状況や、7月に都議会選挙が控えていることもあり、高値を更新するほどの勢いが出てくるには新たな買い材料が必要になってくると思われます。