吉利汽車(香港株:00175)

親会社はボルボを買収、ダイムラーの筆頭株主

 本土を代表する民営の自動車メーカーです。実質的な親会社である浙江吉利控股集団は2010年、ボルボ・カーズを買収、2018年にはメルセデス・ベンツを傘下に持つダイムラーの筆頭株主となっています。

 2020年12月期業績は5%減収、32%減益でした。コロナ禍の影響で上期の販売台数は19%減少、下期は回復し11%増加したものの、通期では3%減となりました。全国規模で値引き競争を展開、販売強化によるコスト増もあり、大幅減益を余儀なくされました。

 2015年、5年以内に新エネルギー自動車(ハイブリッド車などを含む)の生産台数比率を90%にすると発表しましたが、2020年の新エネルギー自動車の販売台数は6万8,142台にとどまっています(全体の販売台数は132万217台)。とはいえ、新エネルギー自動車への転換を全力で進めているといった点に変わりはありません。バイドゥと親会社は1月、合弁でEVメーカーを設立すると発表。こうしたグループ全体の積極経営を評価したいと思います。

北京汽車(香港株:01958)

10分間の充電で197キロ走行可能な自動運転車を投入

 北京市政府系の準大手自動車メーカーです。ダイムラー、現代自動車と合弁。「北京ベンツ」「福建ベンツ」「北京現代」のほか、独自の「北京」ブランドを展開しています。

 2020年12月期業績は1%増収、59%減益でした。合弁比率の大小などにより、「北京」ブランド、「北京ベンツ」は売り上げ計上され、残りの2ブランドは持ち分利益が計上されます。売り上げの96%を占める「北京ベンツ」は9%増収となったのですが、「北京」ブランドが64%減収となり、業績の足を引っ張りました。その他2ブランドは損失拡大、こちらも業績不振の要因となりました。各ブランドで新エネルギー自動車を投入しているものの、その比率はまだ小さく、コロナ禍の影響を大きく受ける結果となりました。

 同社は4月17日、ファーウェイの自動運転技術が搭載された中大型車「ARCFOX-アルファS」を発売すると発表。自動運転ソフトウエアはファーウェイの開発した鴻蒙OS上で作動、ファーウェイの高速充電技術が使われていて10分の充電で197キロメートルの走行が可能です。積極的な新エネルギー自動車の展開を評価したいと思います。