TOPIXは上昇トレンドを継続できるか、強さが試される週に

 続いてTOPIX(東証株価指数)の動きについても見ていきます。

■(図2)TOPIX(日足)とMACD(2021年4月23日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のTOPIXは日経平均と同じような値動きとなりましたが、異なっているのは、「5日移動平均線がまだ75日移動平均線を下抜けていない」という点です。

 昨年からの上昇トレンドにおいて、日経平均の5日移動平均線が75日移動平均線に接近する場面がなかったのですが、TOPIXの5日移動平均線については、75日移動平均線に接近、もしくは下抜ける場面がありました。具体的には、昨年の8月と10月なのですが、ここで踏みとどまることができたことで結果的にトレンドを継続させました。

 3度目となる今回も、「2度あることは3度ある」でトレンドを継続できるのか、それとも「3度目の正直」でトレンドが転換してしまうのかを見極める必要があり、日経平均よりもTOPIXの強さが試される週になると言えそうです。

日経平均は戻りを試せるか?値動きの2つのパターン

 企業決算を手掛かりにして戻りを試す展開に期待したいところですが、ここで、2つの「値動きのパターン」を頭に置いておいた方が良いかもしれません。

 ひとつめのパターンは、「月末近くに下げることが多い」こと、そして、2つめのパターンは、過去の緊急事態宣言下の株価の動きです。

■(図3)日経平均(日足)の動き その2(2021年4月23日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 過去を振り返ると、1度目の緊急事態宣言の時(2020年4月7日~5月25日)は、宣言期間中に株価が上昇して解除後に戻り高値をつけていることが分かります。また、日経平均がバブル後高値を更新した2月16日も2度目の宣言期間(2021年1月8日~3月21日)中でした。

 実は緊急事態宣言時の株価は意外と上昇していたこともあり、過去のパターンが繰り返されるのであれば今回も上昇するのではという見方もできます。

 とはいえ、過去の緊急事態宣言時は、解除後の社会・経済の正常化やワクチン期待など、買いを誘う「プラスα」の材料が存在していました。

 先ほども述べたように、今週は日米で注目企業の決算が相次ぎますが、決算の動向次第ではプラスαの材料となって一段高も想定される一方、先週決算を発表した日本電産の株式市場の反応のように、好決算でも出尽くし感による下落シナリオの可能性も高いと言えます。

 さらに、新型コロナウイルスについては変異株の感染拡大にも注意です。国内では先週、インド型の変異株の感染事例が見つかりました。インド型はウイルス内に2つの変異株の特徴を併せ持つ「二重変異株」で、感染力が強く、ワクチンの効果に影響を与える可能性も指摘されています。実際に、インドでは加速度的に感染者が増えており、インド型に限らず、ワクチン接種で出遅れている日本で変異型の感染拡大は、日本への投資を敬遠する動きにもなりかねません。

 したがって、株価反発のシナリオは描けるものの、全体としてはネガティブ要素の方が多いため、今週の投資スタンスは慎重さが求められそうです。