日経平均は3週連続下落。下値の切り下げは回避
先週末4月23日(金)の日経平均終値は2万9,020円となりました。前週末終値(2万9,683円)からは663円安となり、週足ベースでは3週連続の下落です。
今週の国内株市場は大型連休を控えて4営業日となりますが、日米で注目企業の決算が相次ぐほか、日銀金融政策決定会合やFOMC(米連邦公開市場委員会)などの金融政策イベント、また、米1-3月期GDP(国内総生産)速報値や中国4月製造業PMIといった経済指標が発表され、政治面では米国が教育・子育て支援をメインとする次の経済政策の構想が公表される予定です。そして、国内では緊急事態宣言が発令されましたが、国内外の新型コロナウイルスの状況も引き続き注目されます。
このように、短い期間にイベントがギュッと詰まったスケジュール感です。材料が多過ぎることや、連休を挟んだポジションを持ちにくいこともあって、今週は非常に展開が読みにくい相場地合いとなります。
まずは、いつもの通り、足元の状況から整理していきます。
■(図1)日経平均(日足)とMACD(2021年4月23日取引終了時点)
あらためて先週の日経平均の値動きを振り返ると、週初の19日(月)の取引は、25日移動平均線をサポートにした様子見となったものの、翌20日(火)と21日(水)は大きく下落する動きに転じました。ローソク足は両日ともに「窓」を空けて下落し、この窓空けによって、25日・75日移動平均線をまたぐ格好で下抜け、2万8,419円まで値を下げる場面も見られました。
週末にかけては持ち直しの動きを見せ、23日(金)の終値では節目の2万9,000円台は回復したものの、株価は75日移動平均線に届かなかったほか、移動平均線を見ても、5日移動平均線が25日・75日移動平均線を下抜ける「デッド・クロス」が立て続けに出現しています。さらにMACDも「0円」ラインを下抜けています。
日足チャートを見る限り、下方向への意識を強めている印象ですが、先ほども述べた先週の安値(2万8,419円)は、直近安値(3月24日の2万8,379円)を下回っていないため、かろうじて下値を切り下げていませんし、週末の日経225先物取引も、大取が2万9,230円、シカゴCMEが2万9,185円と上昇して終えています。
23日(金)時点の75日移動平均線が2万9,168円のため、週初の取引はこの75日移動平均線を意識したスタートが予想され、回復してさらに戻りを試すことができるかが焦点になります。とはいえ、下げが再開する不安もあるため、買いを入れるのはMACDのシグナル上抜けクロスなどのサインを見極める必要がありそうです。
TOPIXは上昇トレンドを継続できるか、強さが試される週に
続いてTOPIX(東証株価指数)の動きについても見ていきます。
■(図2)TOPIX(日足)とMACD(2021年4月23日取引終了時点)
先週のTOPIXは日経平均と同じような値動きとなりましたが、異なっているのは、「5日移動平均線がまだ75日移動平均線を下抜けていない」という点です。
昨年からの上昇トレンドにおいて、日経平均の5日移動平均線が75日移動平均線に接近する場面がなかったのですが、TOPIXの5日移動平均線については、75日移動平均線に接近、もしくは下抜ける場面がありました。具体的には、昨年の8月と10月なのですが、ここで踏みとどまることができたことで結果的にトレンドを継続させました。
3度目となる今回も、「2度あることは3度ある」でトレンドを継続できるのか、それとも「3度目の正直」でトレンドが転換してしまうのかを見極める必要があり、日経平均よりもTOPIXの強さが試される週になると言えそうです。
日経平均は戻りを試せるか?値動きの2つのパターン
企業決算を手掛かりにして戻りを試す展開に期待したいところですが、ここで、2つの「値動きのパターン」を頭に置いておいた方が良いかもしれません。
ひとつめのパターンは、「月末近くに下げることが多い」こと、そして、2つめのパターンは、過去の緊急事態宣言下の株価の動きです。
■(図3)日経平均(日足)の動き その2(2021年4月23日取引終了時点)
過去を振り返ると、1度目の緊急事態宣言の時(2020年4月7日~5月25日)は、宣言期間中に株価が上昇して解除後に戻り高値をつけていることが分かります。また、日経平均がバブル後高値を更新した2月16日も2度目の宣言期間(2021年1月8日~3月21日)中でした。
実は緊急事態宣言時の株価は意外と上昇していたこともあり、過去のパターンが繰り返されるのであれば今回も上昇するのではという見方もできます。
とはいえ、過去の緊急事態宣言時は、解除後の社会・経済の正常化やワクチン期待など、買いを誘う「プラスα」の材料が存在していました。
先ほども述べたように、今週は日米で注目企業の決算が相次ぎますが、決算の動向次第ではプラスαの材料となって一段高も想定される一方、先週決算を発表した日本電産の株式市場の反応のように、好決算でも出尽くし感による下落シナリオの可能性も高いと言えます。
さらに、新型コロナウイルスについては変異株の感染拡大にも注意です。国内では先週、インド型の変異株の感染事例が見つかりました。インド型はウイルス内に2つの変異株の特徴を併せ持つ「二重変異株」で、感染力が強く、ワクチンの効果に影響を与える可能性も指摘されています。実際に、インドでは加速度的に感染者が増えており、インド型に限らず、ワクチン接種で出遅れている日本で変異型の感染拡大は、日本への投資を敬遠する動きにもなりかねません。
したがって、株価反発のシナリオは描けるものの、全体としてはネガティブ要素の方が多いため、今週の投資スタンスは慎重さが求められそうです。
TOPIXは中期的な下落トレンド入りの可能性高まる。NASDAQは粘り腰
最後に、週足のボリンジャーバンドとMACDで日米の中長期的な方向性を整理していきたいと思います。
■(図4)TOPIX(週足)ボリンジャーバンドとMACD(2021年4月23日取引終了時点)
TOPIXの週足のボリンジャーバンドは、直近まで続いていた「バンドウォーク」状態が一旦終息し、株価がプラス1σ(シグマ)を下抜ける状況となっています。
過去にも同様の場面がありますが、時折株価が反発する場面を見せながら、いずれもマイナス2σ付近まで下落していたことが分かります。
下段のMACDも下抜けクロスが出現しているため、中期的な下落トレンド入りの可能性が高まっていますので、よほどの買い材料や相場のムードの改善がない限り、しばらくは積極的に上値をトライするのは難しくなったと考えられます。
■(図5)米NASDAQ(週足)ボリンジャーバンドとMACD(2021年4月23日取引終了時点)
その一方で、「粘り腰」を見せているのが米NASDAQです。プラス1σを度々下回りながらも、バンドウォークへの復活を遂げています。足元も同様に、株価がプラス1σに復活してきたほか、下段のMACDもシグナルを上抜けしそうな状況です。
今週の米国株市場は、NASDAQ上場のいわゆる「GAFAM」と呼ばれる、グーグル(アルファベット)、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトの決算が予定されていますので、決算後の市場の反応が相場の方向感に影響を与えるカギになりそうです。
本コンテンツは情報の提供を目的としており、投資その他の行動を勧誘する目的で、作成したものではありません。銘柄の選択、売買価格等の投資の最終決定は、お客様ご自身でご判断いただきますようお願いいたします。本コンテンツの情報は、弊社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その情報源の確実性を保証したものではありません。本コンテンツの記載内容に関するご質問・ご照会等には一切お答え致しかねますので予めご了承お願い致します。また、本コンテンツの記載内容は、予告なしに変更することがあります。