水素関連株にもいろいろある

 一口に水素関連株と言っても、実はいろいろあります。私が長期的に注目しているのは、未来のエネルギー循環社会を作るのに貢献する「水素エネルギー関連株」です。

 ただ、困ったことに水素エネルギー事業はまだ利益が出ない上に、それ以外の事業でも苦戦している企業が多いのが実態です。たとえば、川崎重工業(7012)。水素を作る・運ぶ・貯める・使う、あらゆる面で重要な貢献をしています。

 水素エネルギー関連株というならば、川崎重工業は本命の1社です。圧縮水素を流通させる技術を持ち、水素運搬船・水素運搬車・水素貯蔵タンクを手掛けています。オーストラリアに豊富に存在する褐炭(低品質の石炭)から取り出した水素を、日本に持ち込む事業にも関与しています。水素発電の技術開発も行っています。

 しかし、私は川崎重工業に今、長期投資したいとは思いません。本業の収益が構造的に不振だからです。ただし、鉄道車両・航空機・船舶・二輪・ガスタービン・油圧機器・産業用ロボットなど、重要な技術を幅広く持ち、人類にとってとても大切な仕事をしている会社です。短期投資ならばやってみる価値はあると思います。今年、景気回復がさらに進めば、利益回復が見込まれるからです。

 水素エネルギー関連株以外にも、水素を使ってビジネスをやっている会社はあります。たとえば、水素化技術で高い技術と実績を持つ新日本理化(4406)。これは立派な「水素関連株」ですが、水素エネルギーに関連する事業はあまりやっていません。

 ところが、面白いことに株式市場で水素エネルギーがテーマになると新日本理化にも物色が及びます。流動性が低く、値動きが軽い上に、比較的株価バリュエーションが低いので、こういう銘柄を短期投資で狙う投資家もいます。

 実際、2020年12月に水素エネルギーがテーマになって上昇する局面で、新日本理化は急騰しています。今、株価は落ち着いていますが、この銘柄は今年、水素が話題になるたびに繰り返し物色される可能性もあります。景気回復で、化学株の業績は改善が見込まれますが、そこに水素というテーマがつけば、短期的に急騰することもあると思います。

 ただし、これはあくまでも短期投資のアイディアです。思惑通りに動かない可能性もあります。投資については自己責任でお願いいたします。