恩恵に期待株3:セントジョー
セントジョー(JOE)はフロリダ北西沿岸部で集合住宅、団地、ホテル、ショッピングモール、工業団地などを展開している不動産開発業者です。
同社は17万ユニットのマンション、2,200万平方フィートの商業施設、工業団地、3,000室のホテルを展開しています。
この地域はエメラルド・コーストと呼ばれ、全米で最も美しい白い砂浜が続いています。このため春から秋までは海水浴客が、冬はカナダなどの寒い地域から豪雪を避けるスノーバードと呼ばれる季節移住者が訪れます。また、フロリダは高齢者のリタイアメント・コミュニティーとしても人気があります。
同社は1936年に創業され、もともと広大な松林を所有し林業に従事していました。しかし林業の採算性が悪化したため、その土地を利用してリゾート・アパートメントやバケーション・ハウスの開発に乗り出したというわけです。
売上高の47%は集合住宅から、30%はホテルから、23%は商業施設と工業団地から上がっています。
同社の旗艦ホテルはウォーターカラー・インとザ・パール・ホテルです。これらの中核ホテルの周りに、景観に配慮したマンションを建設し、全体としてバケーション・コミュニティーを形成するわけです。この「街づくり」のプロデュース力が開発案件の収益性や投資リターンを大きく左右します。
2020年は新型コロナの影響で旅行産業は大打撃を受けたのですが、セントジョーの資産が集中しているウォルトン郡は逆に新型コロナで恩恵を受けました。その理由は、同地域を訪れる観光客の87%はマイカーで近隣のジョージア、アラバマ、テキサス、テネシー、ルイジアナ、ミシシッピなどの州からビーチに来るので、公共交通機関が使えなくなっても何の支障もないからです。
ウォルトン郡に行楽に来る宿泊客の多くは家族全員で訪れ、66%はバケーション・レンタルや滞在型コンドミニアムを使います。そのことも「3密」を避けることを可能にしているわけです。滞在日数は6日間です。またビーチは広大で人混みはひどくありません。
このため、2020年のウォルトン郡への観光客は、前年比+3.7%の446万人でした。観光客の支出は前年比+2.6%の36億ドルでした。客室平均単価は前年比+5.7%の292ドルでした。
いま米国の空の旅は新型コロナに対し、いろいろ措置が講じられている関係でチェックが厳しくなっており、いまだ旅行しにくい状況です。そのことはマイカーで行ける行楽地が今年も大人気になることを示唆しています。
セントジョーの1株当たり業績は下のチャートのようになっています。