市場リスクとは?

 市場リスクは、主に価格が変動することによって引き起こされるリスクです。

 典型的な市場リスクは金利リスクです。既に説明したように金利が上昇するとそれは株式の価格にとってネガティブな影響を与えます。従って、金利が動けば、株価も心配しなければいけないという連鎖反応が起こるわけです。

 もう一つの市場リスクに為替リスクがあります。皆さんは為替レートが株価と密接に関係していることを既に経験的にご存じだと思います。円安に振れれば日経平均株価が上がるというのは、その一例です。

 すると株は為替に左右されることが多く、その為替は金利に左右されることが多い……というふうに、いろいろなリスクが「玉突き的」に他へ影響を及ぼしてゆくというわけです。

信用リスクとは?

 信用リスクは取引の相手先が倒産するなど、主に信用面でのリスクを指します。例えば取引先がたくさんの株式に投資していて、もし、市場リスクのせいで株価が急落し、その結果、信用担保リスクが発生した場合は、市場リスクが信用リスクへと発展します。

 この例からも分かるように、市場リスクと信用リスクは、別個にそれぞれ独立して存在するのではなく、二つのリスクは一部重複しているのです。

 カウンターパーティー・リスクとは、取引の相手先が契約を履行できなくなる、あるいは突然雲隠れするなどのリスクを指します。

流動性リスクとは?

 流動性リスクという概念は分かりにくいかもしれませんが、ざっくばらんな言い方をすれば「サクサクとトレードできない」リスクと考えていただければいいです。

 例えば、FX(外国為替証拠金取引)をトレードしている人が、雇用統計が発表された瞬間にトレードしようと思ったら、瞬時にレートが動いてしまい、「レートが動き過ぎたのでトレードは成立しませんでした」という表示が画面に出るような場合が、これに相当します。

 株式の場合、香港市場のように不正会計などで摘発された企業は、調査が済むまで売買が停止されることがあります。このような取引停止リスクも流動性リスクの一つです。

システミック・リスクとは?

 市場リスク、信用リスク、流動性リスクなどが複合することで、市場や経済のシステム全体が機能不全に陥る場合があります。2008年のリーマン・ショックはその好例です。このような複合リスクのことをシステミック・リスクと言います。

 一つや二つのリスクに対して、十分対応できる配慮を普段からしている企業や投資家でも、システミック・リスクに襲われると手の施しようがなくなってしまいます。