税金を安く抑えていたつもりだったのに…

 しかし、税理士である筆者からすると、「非課税枠の範囲内で贈与を続けることで、節税しているつもりが余計な税金を払うことになってしまう」ケースが極めて多いのです。特に、顧問税理士などがおらず、ご自身がネットや雑誌などの知識で贈与を行っている場合はその傾向が強いです。

 例えば、親から子へ現金110万円を贈与すると贈与税はゼロです。一方、現金500万円を贈与した場合、贈与税は48万5,000円となり、税率は9.7%となります。

 ここで、「500万円も贈与したら48万円も贈与税がかかってしまう。もったいない」と考えてしまうのは早計です。

 もし財産が何億円もあり、相続税の税率が40%かかるとしたら、生前に贈与して9.7%の税率で抑えた方が明らかにトータルの税金が安くなります。

 この効果は、生前の贈与額が大きいほど、また贈与を行う期間が長いほど威力を発揮します。
もし子ども3人に年間500万円の贈与を10年間行えば、相続税の節税額は500万円×3人×10年×(40%-9.7%)=4,545万円にもなるのです。

 110万円の非課税枠の範囲を超えて、「年間300万円贈与しましょう」「500万円贈与しましょう」といったアドバイスを、専門家である税理士がついていれば受けることができるのです。