ラルフ・ローレン

ラルフ・ローレン(ティッカーシンボル:RL)は1967年に創業されたラグジャリー・アパレル企業です。

同社は卸売、小売、ライセンシングという三つのセグメントで活動しています。

卸売は売上高の約45%を占め、世界の百貨店や専門店にラルフ・ローレンの商品を提供しています。

小売は売上高の53%を占め、自社店舗やeコマースを通じてラルフ・ローレンの商品を販売しています。

ライセンシングは売上高の2%を占めています。他社にラルフ・ローレンのブランドを使用することを許可し、商標使用料を得ています。

ラルフ・ローレンの商品は、百貨店に代表される世界の1万3千カ所の小売ロケーションで販売されています。また自社店舗493店(2016年4月現在)、店舗内店舗583カ所(同)でも販売されています。

このところ同社の業績は芳しくありません。

消費者の嗜好は劇的に変化しており、それがラルフ・ローレンを直撃しています。2年前頃から既存店売上比較に異変が見え始め、このところはずっとマイナスを続けています。ちなみに直近の第3四半期の既存店売上比較は-4%でした。

売上不振に応じて営業マージンも5年前の16.2%から現在は10%を切る水準まで落ち込んでいます。

この危機に直面し、ラルフ・ローレンはブランドのあり方だけでなく、生産工程、品揃え、サプライチェイン、マーケティング、来店客への対応、百貨店・アウトレット・eコマースの見直しなど、同社のビジネスのあらゆる側面をレビューし、「WAY FORWARD」という巻き返し戦略を練りました。

具体的には、コア・ブランドがおろそかになっており、現在の販売チャンネルでは慢性的な過剰在庫の問題に陥ることが認識されました。

そこで「RLX」、「POLO SPORT」、「CLUB MONACO」、「RRL」、「CHAPS」、「HOME」、「AMERICAN LIVING」などの周辺ブランドを縮小し、「RALPH LAUREN」、「POLO」、「LAUREN」という三つのコア・ブランドに集中する戦略が打ち出されました。

その関係で第3四半期の売上高は前年比-11.9%でした。

つぎに商品を企画してからそれが店頭に並ぶまでのリードタイムが15カ月と長すぎるので、それを9カ月に短縮する努力が始められています。

これまでは売れ残った商品をアウトレットで捌くことで消費者が値引きに慣れてしまい、ブランドのイメージを毀損する結果になっていましたが、これを改めてゆく方針です。

同社のステファン・ラーソンCEOは5月1日付で退社する予定です。次のCEOを探す間、ジェーン・ニールセンCFOが当座の経営を切り盛りすることになります。

同社は膨れ上がり過ぎた卸売在庫の圧縮に努めています。売れ残った商品を自社のオフプライス・ストアで売り捌くことはラルフ・ローレンのブランド・イメージを毀損するので、今後は控える計画です。

またeコマースは値引き競争の舞台となりやすいので、現在はプロモーションを減らしています。その関係でeコマースの売上比較もマイナスになっています。

2017年度の売上高は前年比-10~14%が予想されています。また営業マージンは10%前後を見込んでいます。

2018年度の売上高は前年比-5~9%を予想しています。また営業マージンは2017年度より若干改善を見込んでいます。

【略号の読み方】
DPS 一株当たり配当
EPS 一株当たり利益
CFPS 一株当たり営業キャッシュフロー
SPS 一株当たり売上高