初心者にとっては「講師が言ったことが正しい」

 初心者は、まだ自分自身での判断軸がしっかりしていません。そのため、初心者が株式投資を学ぶときは、本の著者や講師の人が言ったことが正しい、と思いがちです。したがって、「誰から学ぶか」は、その後の個人投資家人生がうまくいくかどうかを左右する重要な要素となります。

 例えば初心者向けの株式投資の本に「株価は長期的には右肩上がりです」とアベノミクス相場後の日経平均株価の株価チャートが載っていれば、「確かに右肩上がりだ!」と思ってしまうでしょう。

 ところが、バブル崩壊後、60%を超える株価下落局面は3回ありましたし、日経平均株価が3万円に到達しても、ほとんど株価が上昇していない個別株も多々あるのです。

 また、「よい会社の株を見つけて適正な株価で買えば、一時的に株価が落ちてもやがて回復して上昇に転じるため成功できる」というコメントもよく見聞きします。そして、実際にうまくいっているケースの株価チャートを示すのです。

 でも、それは結果論であって、そもそも、初心者の方がよい会社の株を正しく見つけることができるかどうかは疑わしいところです。

 あるいは、「もともと50倍だったPER(株価収益率)が30倍になったなら、かなり株価は割安になったと判断できる」とセミナーで聞いたら、きっとほとんどの初心者の方は「その通りだ」と思うはずです。セミナー講師もそう言っているし、初心者向けの株式投資の本にもそう書かれているからです。