為替DI:3月のドル/円、個人投資家の予想は?

楽天証券FXディーリング部 荒地 潤

 楽天DIとは、ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円それぞれの、今後1カ月の相場見通しを指数化したものです。DIがプラスの時は「円安」見通し、マイナスの時は「円高」見通しで、プラス幅(マイナス幅)が大きいほど、円安(円高)見通しが強いことを示しています。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成 

「3月のドル/円は、円安、円高のどちらへ動くと予想しますか?」

 楽天証券が先月末に実施した相場アンケート調査によると、回答を頂いた個人投資家6,331人のうち39%(2,443人)が、今月のドル/円は「ドル高/円安」に動くと予想。前回は25%が円安を予想していました。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成 

 反対に最も少なかったのは「ドル安/円高」に動くで、25%(1,613人)。残りの36%(2,275人)は「動かない(わからない)」でした。

 円安が円高見通しを上回ったのは、昨年2月以来。今回11カ月ぶりに円安サイドに転換したのは、米長期金利の急上昇が理由と考えられます。

 

FRB「金利上昇、それが何か?」

 米国の長期金利が急上昇しています。しかしFRBは、「米国の景気見通しに対する自然な反応」である金利上昇を抑える必要はないと考えています。長期金利は「ありのままに(Let it Go)」というのがFRBのスタンス。

 インフレ見通しに関して、パウエル議長をはじめFRBのメンバーは、統一した見解を繰り返し発信しています。それは「インフレは放置する」。今年の春から夏にかけてのインフレは、一過性の現象か、あるいは単に統計上の理由(コロナで大きく落ち込んだ1年前のデータとの比較)と考えられるため、FRBはそれら一切をスルー(無視)する。ワクチン普及と移動制限解除による夏場の物価上昇も、インフレに構造的な改善があったとFRBが信じる理由にはならないということです。

 パウエルFRB議長に言わせると、インフレのダイナミクス(力学)は、「10セント硬貨の上でくるりと回るよう(に素早く転換する)ものではない」。言い換えるなら、インフレに大きな変化をもたらすには、単発の景気刺激策による一過性の需要以上のものが必要だということです。

 しかし、なぜFRBはこれほどまでに慎重なのか?

 はっきりと認めたことはありませんが、FRBはインフレ政策に関して失敗を積み重ねてきた苦い過去があります。過去10年間一貫してインフレ目標を達成できていないという事実は、FRB自身が一番よく認識しているはずです。

 経済データを信じて一過性のインフレ上昇に飛びつくと、過去の失敗を繰り返してしまう。特に、長期間低迷を続けたあとのインフレは「お化粧」をしている可能性がある。FRBが求めているのは、(一過性の現象ではなく)インフレ・ダイナミクスの真の改善です。長期金利の上昇を「放置」しているように見えるのは、これが理由です。

 FRBは今回こそ失敗できない。インフレを醸成する能力があることを証明してみせる必要がある。そしてその先には、完全雇用を実現し経済を完全に健全な状態に戻すという、より高い目標を達成する責務があります。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成 

 楽天証券の相場アンケート調査によると、26%の個人投資家が今月のユーロ/円は「ユーロ高/円安」に動くと予想。前回は18%がユーロ高を予想していました。

ユーロ安/円高」に動くは、最も少なく22%。最も多かった回答は「動かない(わからない)」の 53%。

 

 楽天証券の相場アンケート調査によると、28%の個人投資家が今月の豪ドル/円は「豪ドル高/円安」に動くと予想。2月は19%が豪ドル高を予想していました。

出所:楽天DIのデータより楽天証券経済研究所作成 

豪ドル安/円高」に動くは、19%。最も多かった回答は相変わらずの「動かない(分からない)」で53%でした。