TOBで露呈する「塩漬けリスク」

 このように、TOBにおける買付価格は、直近の株価よりは数十%程度高い価格に設定されるものの、かなり以前に買った場合は、逆に買値が買付価格よりかなり低くなってしまうケースも多い点には十分な注意が必要です。

 例えば先のケネディクスの例でいえば、2005年12月に4,080円という高値を付けた後株価は下落を続け、2009年2月には50円まで下落しました。

 この間、高値づかみした株を損切りせずに放置した結果塩漬け株にしてしまった人も多かったはずです。

 塩漬け株を作ってしまうと、「買値まで上がったら売ろう」と半ばあきらめ気味になってしまいますが、TOBにより、含み損が容赦なく実現してしまうのです。

 こうした点からも、筆者はやはり塩漬け株は作るべきではないと思っています。筆者は株価が下降トレンドに転じたら速やかに保有株を売却していますから塩漬け株は一切ありません。このことが、結果的に保有株がTOBの対象となった場合にも大きな利益につながっていると思っています。