米国で流行する資産管理法

 ここ数年、「ゴールベース・アプローチ」(Goal Based Approach)という言葉をしばしば耳にするようになった。

 ゴールベース・アプローチは、顧客が将来達成したい人生のゴールに合わせた資産管理の方法を提案するサービスだとされている。ある程度以上の富裕層顧客が対象だが、将来の事業のあり方、事業の承継、子どもの教育、社会貢献といった多方面に亘る、顧客が「将来達成したいゴール」のためにどうしたらいいかという観点から、資産管理のサービスを提供する。「顧客の人生に伴走するような」サービスだと表現されることもある。米国での具体的なビジネス形態は、ラップ運用が中心だ。

 富裕層に限らないが、人は人生にあって「出来れば達成したい」と思う目標をあれこれ思い浮かべる。その目標を達成するために、どのようなお金の準備をしたらいいのかを教えて貰えるとしたら、それが魅力的なサービスだと思う人が少なくあるまい。

 人生の目標を達成するために重要なのはお金ばかりではなく、ビジネス・教育・不動産などに関する情報もあるだろうし、おそらく税金の問題が相当に大事だろう。こうした諸問題について、総合的にコンサルティングしてくれるサービスには少なからぬ価値がある。単に「儲かりますよ。やってみませんか」と勧める営業のアプローチよりも有り難いと感じる人は少なくあるまい。いかにも「顧客本位」のアプローチに聞こえる。ゴールベース・アプローチを顧客にとって有意義で先進的なサービスだとして肯定的に紹介する書籍もある。

「ゴール」は運用方法に関係しない

 さて、耳触りのいいゴールベース・アプローチなのだが、本当に意味はあるのか。

 例えば、10年後に支出したいと思う、子どもの教育費と、社会貢献のための寄付のお金とを作るに当たって、資産運用はどう関係するのか。

 子どもの教育費は是非必要なのでお金が足りなくなるようなリスクを取りたくないかも知れない。一方、寄付のためのお金はその時になって余裕がなければ支出しなくてもいいかも知れない。それぞれを別の原資から支出すると考えるなら、原資となるお金の運用方法は異なるかも知れない。

 しかし、10年後に意識する支出が、「子どもの教育費」であっても「社会貢献の寄付」であっても、(1)その時にあるお金の使い方にその時に優先度を付けたらいいのだし、(2)その時までの運用をなるべく上手くやっておくといいのだし、(3)原資となるお金を別々に管理して運用する必要は全くない。

「ゴール」となる資金の使途と資金の運用方法との間に関係を設定する必要は殆ど考えられない。

 どうしても何かを想像するなら、例えば、将来不動産を取得することが必須だとして、そのための運用には、将来の不動産価格の変動をヘッジする必要があるとした場合に、REIT(不動産投資信託)で運用することが適切になるかも知れない。しかし、これはいかにも作りものの例であって、実際には、将来の支出先の大半が不動産だということは稀だろうし、そもそもお金を効率よく増やすことができたら、運用手段はREITでなくても全く構わない。

 将来のお金の使い道と、そのためのお金の運用方法に関係があると考えるのは、余計な思い込みなのである。