セントルイスFRB総裁の発言

 このような中、1月16日、セントルイスFRB(米連邦準備制度理事会)のジェームズ・ブラード総裁が「インフレがハチャメチャ(out of control)にならないよう十分注視する」という発言をしました。

 彼は「インフレになる」と言っているのではなく、「インフレにならないようにする」と言っているので、これは今までのFRBのスタンスから逸脱する発言ではありません。

 しかし「ハチャメチャ」という表現は、くだけた言い回しであり、聞くものに強烈な印象を残してしまいます。

 そのような理由からFRBの高官は普通、このような不用意な単語を用いることは極力避けるわけですが、今回のテレビ・インタビューでは、むしろわざとそのようなカジュアルな表現を使い、投資家に注意喚起を促したふしがあります。

 債券市場は当然、えん曲的に釘を刺すブラードのこのやり方に耳をそばだて、長期債を売りました。

10年債利回り

 その結果、米国10年債の利回りが1.3%を超えてきています。

 これまでのところ利回りの上昇はじわじわしたペースであり、市中金利の急変動によるリスク回避プログラムを発動するようなリスクはなかったと思います。

 しかしこのような長期金利の急変が今後も何回も続くようでしたら「売りプログラム」が出るリスクもあると思います。