値上がり率ランキング(5銘柄)

1 ジオマテック(6907・ジャスダック)

 月末にかけた数日の急騰で、新興株トップの上昇率に。きっかけは、25日発表のリリースでした。内容は、三井金属と協働で量産体制を整えてきた次世代半導体チップ実装用特殊ガラスキャリア「HRDP」に関し、国内の複合チップモジュールメーカー向けに量産を開始するというものでした。リリース内には、2021年度中に海外の大手実装メーカーでの採用が予定されているほか、2022年度以降も多様な用途で量産開始が計画されているとも記載。

 これを受けて翌日から2日連続ストップ高に。手あかの少ない低流動性銘柄だったこと、2日連続のストップ高買い気配になると制限値幅4倍の拡大措置が適用されること…そうした需給面と制度面を狙った投機買いによって、強材料とはいえ、業績影響が不明の段階から信じられない速度での株価織り込みが起きました。

2 フルッタフルッタ(2586・東証マザーズ)

 アサイーのフルッタフルッタが、想定外の材料でコロナ関連に急浮上。同社は7日、トロント大学がカナダ、ブラジルで実施している新型コロナ患者に対する重症化抑制の臨床研究で、同社のアサイー原料を使用するための実証実験を開始することで合意したと発表。アサイーの購入動機になる新しいエビデンス、アサイーの認知度向上につながると…。

 低位の超小型株ということもあって、このニュースに飛び付く短期マネーが殺到。この銘柄に関しては、空売り残高報告からヘッジファンドの空売りも多いことが知られた銘柄でした。スケールは小さいですが、米国のゲームストップ株で起きたショートスクイーズ狙いの投機売買に似たところもありそうです。

3 識学(7049・東証マザーズ)

 14日の後場、第3四半期の決算を発表。第2四半期まで0.24億円の営業赤字だったのですが、第3四半期では0.36億円の営業黒字に転じていました(とはいえ、前年同期比では8割減益)。コロナの影響は、スポンサー企業の撤退につながり業績面でネガティブ。ただ、黒転に反応してか株価は好反応を示しました。

 決算発表で急騰したのですが、好決算の上昇が長く続かない(むしろ織り込み済みで下落も)時期だっただけに、異例の反応。これは、決算発表の少し後(翌週21日)、一部国内証券が投資判断「A」(目標株価は今の値段を大幅に上回る3,500円)としたことが刺激になったといえます。決算発表の後、マザーズの小型株に最上位で新規カバレッジが付くこと自体が異例…だったとしか後講釈でも表現しにくい事例でした。

4 山陽百貨店(8257・ジャスダック)

 大きなプレミアムが付いたTOB案件で、TOB価格へのサヤ寄せが値上がり要因です。同社の親会社である山陽電気鉄道が13日、完全子会社化を目的として1株2,630円でTOBすると発表。発表のあった13日終値は1,661円でしたので、TOB価格は58%のプレミアムが乗せられた水準でした。子会社の山陽百貨店側も即座に、TOBに賛同意見を表明しています。

 親子上場の解消は昨今増えていますが、どの銘柄が、いつTOBを行うか?は外野からは予想できないわけで…親子上場とか業界再編は切り口として非常に面白いのですが、TOB発表に保有株が巡り合うなんてことは激レアですね。

5 アルー(7043・東証マザーズ)

 21日、2020年12月期の業績予想を、売上高17億円→18億円、営業損益3.1億円赤字→2.1億円赤字に増額しました。コロナ影響で研修見送りが増えることを想定していたものの、オンライン研修実施やeラーニングの受注が予測を上回る好調だったようです。利益面は、コロナ禍で多い理由ですが、営業などでの交通費・旅費のコスト削減が押上げ要因。

 上方修正とはいっても、この期の利益項目は赤字のまま、「赤字縮小」のパターンです。このパターンの業績上方修正で、ここまで急騰するのは意外感が多いのですが…発表前の時価総額が17億円台と超小型株だったため、個人の短期マネー流入で噴き上がったといえます。