売買代金ランキング(5銘柄)

1 バルミューダ(6612・東証マザーズ)

 ラッシュとなった12月IPOの中で、流動性面でバルミューダがトップに。初値を付けた後の上昇率も同社がトップになったのは意外でした。12月IPOの中で何がバルミューダの特徴か?となると“知名度”です。おそらく一般知名度は同社が一番のはずで、「IPOは知名度がかなり重要」という発想は今後のIPOでも生かせそうです。

 高級家電製品でヒット商品を生み出したバルミューダ。今後の業績でいえば、トースターや扇風機に次ぐヒット商品を生み出せるか?がカギとなります。ただ、これはあくまで今後の焦点。短期的なヒット商品輩出が求められているわけではないので、株価が上がりそうか?というモメンタムだけが重要。とくにこの時期、高値をとる12月IPOがなくなっていたこともあって、需給妙味と流動性の両面で最優先銘柄になりました。

2 ウェルスナビ(7342・東証マザーズ)

 同じく12月IPOで、流動性ではバルミューダの次点。バルミューダとウェルスナビの共通点は、こちらも“知名度”…知名度はIPOのセカンダリーでかなり重要かもしれませんね(テレワークなどを理由に株を始めた新規参戦者も増えたようですし)。

 資産運用を全自動化したロボアドバイザー「ウェルスナビ」を提供しており、日本の上場企業では初モノとなるビジネスモデルです。利用者、預かり資産とも順調に拡大しており、成長イメージも描きやすいといえそうです。上場来高値を付けたのは5日でしたが、月序盤が今のところ人気のピーク。話題になったのは、7日にクープランド・カーディフ・アセットマネジメントによる新規の大量保有報告(発行済み株数の5.02%)でした。上場した12月22日以降、連日市場内で取得していたようです。

3 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 マザーズ指数の指数ウエイトは10%超で、影響力は絶大。そのメルカリが、月前半に驚きの上昇劇を演じました。昨年12月28日から上昇が始まり、1月13日まで怒涛(どとう)の10連騰!(この間の上昇率32%!)。メルカリが上昇しても、マザーズ指数が横ばい(=メルカリ以外のマザーズ銘柄が幅広く下げていたということ)という珍しい展開でした。東証1部でも値がさ大型株ばかり買われていた地合いでしたし、海外機関投資家の買いバスケットの中にメルカリだけ含まれていたという感じでしょうか…。

 ただ、それも月後半に急反転。19日付の一部経済紙で、メルカリの米国事業がコロナ禍で逆風に見舞われていると報じられたことが引き金になりました。米国事業の黒字化がカタリストだっただけに、強い売り材料に。2月4日に控える中間決算発表への警戒が浮上しました。

4 プレイド(4165・東証マザーズ)

 12月IPOでは時価総額最大。同社が展開するクラウド型CXプラットフォーム「KARTE」は、サイトやスマホのアプリを使いやすく改善するサービスです。サイトやアプリの集客力を高めるという発想ではなく、せっかく訪問してくれたユーザーの購買行動をいかに促すか?といった発想が非常にユニーク。大手企業の採用実績も豊富で、世界的にも類似会社の存在しない注目ベンチャーです。

 IPO時に注目されたのは、公開株のほとんどを海外投資家に配分したこと。海外配分比率は8割超と異例の高水準で、2019年上場のフリー(約7割)より高かったことが話題にもなりました。これが意味しているのは、IPO価格で海外勢も買いたいIPOだったということ。上場後に市場で取得する海外勢もいたようで、8日付で米キャピタル・リサーチが発行済み株数の5.57%を保有していることを報告しています。

5 マクアケ(4479・東証マザーズ)

 26日発表の第1四半期決算を前に、マザーズ市場の地合い好転に材料も重なって大きく上昇していました。好感された材料は、20日に発表された世界最大級のクラウドファンディングサービスを展開する米インディゴーゴー社との業務提携。マクアケ利用者にインディゴーゴー社のクラウドファンディングを紹介すれば、ビジネス展開が欧米にも広がる大きなメリットが見込めます。

 この材料で株価が上がった状態で迎えた26日の第1四半期決算。10-12月期の売上高は前年同期比91%増、営業利益は同48%増と高い伸び率を示したのですが…発表翌日27日の株価は急落しました。高い成長性を織り込み、超高PER(株価収益率)株となり、時価総額が売上の何倍かを示すPSRで判定される風潮が生まれていました。PSR株は売上の高成長が必須…という点でいえば、10-12月期の応援購入総額が前四半期(7-9月期)と比べて14%減少していた点がネガティブ。四半期決算で乗り越えないといけないハードルがものすごい高くなっていることを示唆しています。