日本銀行は、最強のファンド・マネージャー?

 日本銀行のETFの買い方を見ていると、最強のファンド・マネージャーに見えます。日経平均が下がった時、株が安い時にはガツンとたくさん買い、日経平均が上がった時、株が過熱している時には買いをやめてしまいます。

 圧巻だったのは、昨年の2~3月、コロナショック暴落時の大量買いです。当時、日本銀行が保有するETFの平均コストは、日経平均で1万9,000円台でした。一時1万6,000台まで日経平均が下がった時には、巨額の含み損を抱えていました。さらに日経平均が下がると日本銀行は債務超過となり、中央銀行の信用不安が日本経済を混乱させる懸念も出ていました。そんな局面に追い込まれたら、並みのファンド・マネージャーだったら、臆してETFの損切りを始めたかもしれません。

 ところが、黒田日銀は違いました。逆に買い付け額を大幅に引き上げて、勝負に出ました。もし、この勝負に負けていれば、黒田総裁は、日銀を信用不安に貶めた総裁として、長く記録されるところでした。

 結果的に、日経平均は急騰しました。日本銀行は勝負に勝ち、今や巨額の含み益を抱えるようになっています。