MACD:かなりの高水準。短期的な株価上昇ペースが先行

 また、本格的なトレンド転換の判断については、これまでにも指摘してきた、週足のMACD(12週~26週)がシグナルを下抜けるクロスの出現で変更はありません。

■(図4)日経平均(週足)の線形トレンドとMACDの動き(2021年1月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 なお、MACDについては15日(金)時点で1,000円を超え、チャートを過去にさかのぼってみても、かなりの高水準に位置しています。MACDは(平滑)移動平均線の短期と中期の差の推移を示しているため、短期的な株価上昇ペースがかなり先行している状況です。図4上段の線形トレンドも、+2σ(シグマ)を上放れしていますので、少なくとも上昇一服の展開に入ってもおかしくありません。

NYダウ:見極めムード。日本株と米国株が連動しない場面が増える?

 続いて、NYダウ平均株価の動きについても見ていきます。

■(図5)NYダウの日足チャート(2021年1月15日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 先週のNYダウの動きを見ると、横ばいの動きから、5日移動平均線を下抜ける動きになっていたことが分かります。連休前の手じまいと注目イベントを前にした見極めムードだったと思われますが、一方の日本株は上値をトライする動きを見せていたため、しばらくは、日本株と米国株が連動しない場面が増えてくるかもしれません。

 最後に、先ほども触れた相場の「下げ切らない強さ」についてですが、金融緩和・低金利の継続を前提に、他の資産と比べた株式の優位性の他、コロナの感染が拡大すれば、withコロナ関連が物色され、感染が落ち着けば、経済・社会の正常化期待で景気敏感株やコロナ禍で売られた銘柄が買い戻されるなど、どの状況下においても「買える」対象が存在すること、そして、株価と実体経済との乖離が指摘されても、売り方が踏み上げられてしまい、「リクツで下値を拾う」よりも「勢いで上値を追う」しかないという市場のムードなど、「株高の歯車」がうまく機能していることによってもたらされています。

 今後は、この歯車の噛み合わせにズレが生じた時への警戒が必要になりますが、そのきっかけが今週以降のイベントや決算シーズンとなるのかどうかが最大の焦点になりそうです。