株式市場への影響

 これが株式市場にどう影響するか? ということですが、まずジョージア州での決選投票が民主党有利と報道された途端に米国財務省証券(米国債)が売られ、金利が上昇しました。10年債利回りは心理的に重要な1.00%を超えました。

 市中金利と株式バリュエーションはシーソーの関係にあります。つまり、一方が上ると他方は下がるのです。すると、今回のような長期金利の上昇は、株式にとって歓迎せざる展開といえます。

 ただ巨視的に見た場合、今回の上昇幅はまだ小さいので、投資戦略を大きく変更しなければいけないほどの影響はないと思います。

米国10年債利回りの推移

単位:%
出所:セントルイス連銀

 今後もし10年債利回りがズンズン上昇するようなら、株式に対する考え方も変えないといけません。つまりもっと弱気にならざるを得ないということです。

 でも、今のところは前回のレポートでお伝えした2021年の投資戦略に変更はありません。

なぜ長期金利が上がっている?

 なぜ10年債利回りは1.00%を超えたのでしょうか? それに対する一番簡単な説明は、ブルーウェーブになることで民主党が思う通りに法案を成立させやすくなり、結果として米国の財政規律が損なわれるのではないか? という懸念を投資家が抱いているからです。

 しかし、実際には米国連邦政府の予算収支を大幅に悪化させるような立法に関して、上院では今回達成された51%の過半数だけでは不足で、議事打ち切り動議が行える60%前後の得票が必要です。従って実際にはポコポコ法案が成立して政府の財政規律がむちゃくちゃになるシナリオは考えにくいです。

 株式市場の投資家は「今度こそ国民一人一人に一律2,000ドルの新型コロナ見舞金をふるまってほしい!」とか「大規模なインフラストラクチャ法案を成立させてほしい!」とか、「グリーン・ニューディールのような環境保全にかかわる大型法案を成立させてほしい!」という夢を抱き始めています。それらに関連する銘柄も人気化しています。

 しかしそれらの法案は、そうやすやすとは成立しないと思います。後で投資家が落胆させられるリスクが大きいです。