NT倍率の上昇が表していること

 2020年の年間を通してもう一つ言えること、それはNT倍率が大きく上昇した点です。2020年の1年間で、13.7倍から15.2倍に上昇しています。

 NT倍率とは、日経平均株価をTOPIX(東証株価指数)で割った数値で、これが上昇しているということは、日経平均株価の方がTOPIXより強い動きであると意味します。

 一般的に、個人投資家好みの株は日経平均株価の採用銘柄には少ないので、NT倍率が上昇している時は、「日経平均株価は上がっているけど、私の持ち株は上がらないなあ」という感覚を個人投資家の多くが持ちます。

 また、日経平均株価へ与える影響度が高い銘柄、例えばファーストリテイリング(9983)、ソフトバンクグループ(9984)、エムスリー(2413)、ソニー(6758)、東京エレクトロン(8035)などが軒並み2020年に大きく株価を上昇させている点も見逃せません。

 こうしたことから言えるのは、日経平均株価や、日経平均株価に影響を与える銘柄は大きく上昇したものの、それ以外の銘柄についてはそれほど上がらなかった、もしくは逆に下落したという傾向にある、という点です。