2021年は順当なら、(1)超が付く金融緩和に、(2)ワクチン普及に伴う経済回復展望、さらに(3)ドル安に伴うグローバル・リスクオン、というトリプル好条件がそろいそうです。マクロ投資にとって、素晴らしく明るい相場を展望できる局面です。もちろん好条件過ぎて、相場自らが反落リスクを膨らませることにも留意が必要です。しかしそれを勘案しても、本格的に警戒されるのは2022年以降と判断します。

 2021年年明けの相場はスロースタートの様相ですが、2~3月には堅調さを見せ、4~6月には過熱する可能性すらあります。相場が徐行から加速していくレールの走り方をイメージしてみましょう。

2021年の「すごい」マクロ環境

 2021年は、米議会上院を制するのは共和党か民主党かを決める選挙、北半球冬場の新型コロナウイルス感染第3波、その猛威を抑える行動制限による景気二番底懸念と、目先の不安材料に押されて、株式相場は大幅安のスタートでした。相場がしっかりでも、2020年第4四半期以降のローテーション(割高なグロース[成長]株売り、割安な景気・バリュー[割安]株買い)の流れで、手放しに強気になれない地合いでした。

 しかし、恐らくここが先行き不安の当座のヤマ場と見ています。順当には、米株式相場にとって素晴らしい好条件がそろいそうです。ワクチン接種の進捗につれて、景気回復も進むと期待されます。

 一方、2021年中に経済は巡航軌道復帰に至らず、需要不足を解消できずに、金融財政政策のサポートが続くでしょう。つまり、景気回復と金融緩和(しかも「超」が付くほどの)という好条件が並行する局面です。

 さらに、この景気サイクル局面は、米景気が回復しているのに、FRB(米連邦準備制度理事会)による金融緩和が効いてドル安にもなりがち。ドル安は、米国の経済、株式相場にプラスに作用するのみならず、新興国の経済・市場、資源相場の復調をも促します。

 もちろん、需要不足のまま景気が浮上できず、政策効果への失望が広がるとか、ワクチン接種が滞る重篤な副反応やコロナ変異といった、好条件の前提を覆すリスクも排除できません。しかし、少なくとも現時点で、お先真っ暗の悲観シナリオを信じているのでなければ、好相場シナリオをメインに据えることにさほど違和感はないでしょう。その上で、同シナリオを成り立たせる条件をきちんと理解してフォローし、情勢変化への機動性も保つことが、相場を楽しむ基本姿勢と考えます。