株式市場の割高感も指摘されることが増えている

 また、最近は相場の過熱感とともに、株式市場の割高感についても指摘されることが増えました。8日(金)時点の予想PER(株価収益率)は、日経平均225銘柄で26.02倍、東証1部で28.33倍となっており、数値から見ると確かに割高感があると言えます。

 ちなみに、PERは、株価÷EPS(1株当たり利益)で計算されますが、式の項目を入れ替えて、EPS÷株価×100で計算したものが「株式益回り」です。

 株式益回りとは、その企業のEPSが、株価に対して何%を稼いでいるのかを表したもので、株式投資に利回りの考え方を取り入れています。こうすることで、債券利回りと比較することが可能となり、債券と比べて株式が割高(割安)なのかの判断材料にします。

 一般的なリクツでは、株式の方が債券よりもリスクが高いため、利回りも株式の方が高くなりますが、株式益回りと債券利回りとの差(スプレッド)が縮小していくと、「株式投資の優位性が低下し、リスクが低い債券投資のウエイトを増やしても良いのではないか?」という考えが高まることになります。最近になって米国長期金利の上昇を警戒する声が出てきているのもそのためです。

 さらに、今週はファーストリテイリングや、セブン&アイホールディングス、ABCマートなどの決算が予定されていますが、これから日米で決算発表シーズンの本格化を迎えます。思っているように企業が稼げていないと、株式益回りが低下し、債券利回りとのスプレッドも縮小することになり、株価調整のきっかけになる可能性があります。

 そのため、しばらくは財政出動と金融緩和によるポジティブムードが、決算発表シーズン前の思惑で揺らぐかどうかが試されることになりそうです。