相場は再び上昇?気になる「米国の政治」と「昨年末のパターン」

 日経平均は2万6,000円台半ばを維持し、株価が崩れずに済んでいるということは、売りの一巡で需給が軽くなったり、コロナ感染拡大の一服などがあれば、再び株式市場が上昇してもおかしくはなさそうです。とはいえ、気になる点が3つあります。

 一つ目は、米国では来年早々に政治のヤマ場を迎えることです。2021年1月5日に米ジョージア州で上院議員の決戦投票が行われ、まだ決まっていない2議席の行方が争われます。米国議会の「ねじれ(上院が共和党・下院が民主党)」が解消されれば、民主党主導の政権運営となり、積極的な政策による財政赤字の拡大や、GAFAMなど米大手IT企業への規制強化などが警戒されて、株式市場にとって悪影響を及ぼす可能性も出てきます。そのため、政治不透明感を前に慎重な値動きが想定されそうなことです。

 二つ目は、昨年(2019年)末の状況と似ているということです。

■(図2)2019年末の日経平均(日足)の動き

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 今年との共通点は、「株価の上値が重たくなり、25日移動平均線に寄せる動きとなった」ことと、「25日移動平均線と75日移動平均線とのあいだに比較的大きなギャップがある」ということです。

 移動平均線は一定期間の値動きの中心線として意識されます。25日線であれば約1カ月間、75日線であれば約3カ月間の中心線です。図1をみると、日経平均がもみ合いの中で、1カ月間の値動きの中心線水準までの調整を完了させたといえます。

 となると、次は3カ月間の水準まで調整が進むのかが焦点になりますが、25日線と75日線とのあいだにかなりのギャップがあり、ここをどう埋めるのかが注目されます。具体的には、株価が75日線に向かって動くのか、それとも、株価が25日線をキープしつつ、75日線がキャッチアップしてくるのを待つのかです。

 そこで、図2で昨年の状況を見ると、大納会(年末)と大発会(年始)を挟んで、株価が一気に75日線に近づいていく動きを見せていたため、相場の記憶からは多少なりとも警戒感が芽生えてもおかしくはなさそうです。

 個人的に注目しているのは、足元の25日線の攻防は、25日線と75日線のギャップが拡大してしてから、初の調整局面であるということです。図2で昨年の状況を見ると、2019年9月下旬に25日線と75日線がゴールデンクロスし、11月から12月にかけての25日線の攻防による調整を経て、先ほどの2度目の調整局面で75日線に向かっていきました。そのため、もうしばらくは25日線の攻防が続いた後、上放れを試すも株価を伸ばしきれずに、75日線まで失速という値動きになるのではと考えています。