4:ドル安の構図は変わらず、ドル/円は100円割れとなり、介入警戒感から緩やかな円高に

 米国の経常収支と財政収支の「双子の赤字」拡大は続き、また、FRBのゼロ金利政策と量的緩和の長期化によって、ドル資金供給拡大は続き、これらの要因がドルの価値を押し下げると予想します。このドル安の構図は2021年も変わらず、1年を通してドル安は進行すると予想します。

 ドル/円は100円割れを目指しますが、100円以下は介入警戒感からマーケット参加者も慎重になり、100円を中心としたレンジ相場の展開を予想します。介入は、G7諸国に対して介入が正当化できるような環境ではないため、口先介入の域は出ない状況が続くと予想します。

 ドル安の構図、社会・政治不安の高まり、日本の物価下落によって円は資産として魅力が高まり、円高地合いは続くと予想します。

5:景気停滞と感染拡大は社会の不満を増大させ、米国だけでなく各国で社会・政治は不安定に

 各国とも新型コロナウイルスの感染拡大と景気低迷により、社会の不満が増大し、デモや暴動によって社会が不安定になり、政治リスクが高まると予想します。

 特に米国は1月20日に新大統領が就任するまでは目を離せませんが、仮にバイデン政権になっても米国の社会の分断は好転せず、新型コロナウイルスの感染拡大の度合いによっては悪化する可能性も予想されます。

 中東をはじめとした新興国は、より経済・社会が不安定な状況になることが懸念され、中東は原油価格下落によって地政学リスクが高まることが予想されます。

 そして、中国も予想ほど経済は回復せず、台湾、南シナ海、東シナ海の地政学リスクが高まることが予想されます。7月には中国共産党結党100周年を控えており、7月前後の動向には特に注目する必要があります。