5:[環境配慮]発電装置の電極部分にプラチナを使う“燃料電池車”が普及し始める

 燃料電池車(FCV:Fuel Cell Vehicle)のモーターを駆動させる発電装置の電極部分にプラチナが使われています。

 燃料電池車1台あたりに用いられるプラチナの量は、筆者の取材によると概算で、軽油を燃料とするディーゼルエンジンを搭載するディーゼル車の排ガス浄化装置に用いられている量の、4~5倍、あるいはそれ以上とみられます。

 燃料電池車は、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、クリーンディーゼル車とともに、「次世代車」と呼ばれる、世界的な環境配慮の流れに則した自動車の一つで、日本の自動車メーカーが、欧州の企業と協力して開発を進めていると、盛んに報じられています。※次世代車の定義は、国や年代によって異なります。

 ただ、今のところ、コストやインフラ(車体価格や水素ステーションの数)などで、ハイブリッド車や電気自動車に見劣りする点があり、まだシェアは大きくはありません。今後の成長の余地がある分野として、認識しておくべきだと、筆者は感じています。

 とはいえ、“環境配慮”そして、何より日本や欧州が前のめりになって推進している“水素”を使うという点では他の種類の自動車よりも、優位性があると言えます。“環境配慮”や“水素”というテーマは、政策的な要素を多分に含むため、政策次第で、燃料電池車が普及する可能性は十分あると、考えられます。