4:[環境配慮]電気分解が行われる電極部分にプラチナを使う“水素生成装置”の需要が増す

 以下、4~6は、世界中で進む地球環境に配慮するさまざまな施策が、プラチナに新しい需要をもたらす可能性があることについてです。未知数ではあるものの、世界的に環境配慮のムードが急速に強まっていることから、これらは、プラチナの需要増・価格上昇要因になる可能性があるため、目が離せません。

 “水素”は、特に日本や欧州で、将来の社会を支える重要なエネルギー源とすべく、その実用化が積極的に議論されています。“水素”に期待が寄せられるのは、エネルギー発生時(熱・光・音の発生時)に二酸化炭素を排出しないだけでなく、“水素”を用いた二酸化炭素を吸収する技術が開発されつつあるためです。

 その“水素”ですが、生成方法によって“色分け”がされています。すべての水素がクリーンとは言えないことがわかります。

「グリーン水素」:水(H2O)を電気分解して生成された水素。
「ブルー水素」:二酸化炭素(CO2)の回収過程で生成された水素。
「ターコイズ水素」:再生可能エネルギーで動く装置でメタンを熱分解して生成された水素。
「グレー水素」:生成過程で二酸化炭素を大気中に排出する、化石燃料を原料とする水素。

※「グリーン水素」は再生可能エネルギーを用いて作られた電力を利用する。
※「ブルー水素」と「ターコイズ水素」は、生成過程で発生した固体炭素(C)がCO2として大気中に放出されないことが前提。これらは、二酸化炭素を“吸収”したとみなす“炭素中立(カーボン・ニュートラル)”の扱い。

 上記の水素のうち、環境に最も好ましい「グリーン水素」を生成する装置は、4種類あるとされています。アルカリ電解槽、プロトン交換膜電解槽、固体酸化物電解セル、バイオマスガス化炉です。これの中で、プロトン交換膜電解槽の、水を電気分解する電極部分にプラチナが使用されています。

 環境に最も好ましい「グリーン水素」は、現段階で、生成される水素の“数パーセント”という試算があります。クリーンな「グリーン水素」を生成できる装置、そして同装置に用いられるプラチナの需要は、足元の環境配慮への強いムードが後押しし、今後、増加すると考えられます。