1:長期的視点で、プラチナ相場は底堅く、上値余地がある
以下は、NYプラチナ先物価格の推移です。
図:NYプラチナ先物(期近 月足 終値) 単位:ドル/トロイオンス
足元のプラチナ価格は、2008年に発生した未曽有の金融危機“リーマン・ショック”直後の安値に比較的近い水準にあります。同ショック直前は、1トロイオンスあたり2,000ドルを超えていたため、現在はそのおよそ“半値”です。
同ショック後、2015年9月、ドイツの自動車大手フォルクスワーゲン社が、違法な装置を使い、不正に排ガス浄化装置のテストをくぐり抜けていた問題(いわゆるフォルクスワーゲン問題)が発覚し、同社の主力車種のディーゼル車への不信感が高まりました。
この時、プラチナの主要な需要である、ディーゼル車の排ガス浄化装置向けの需要が急減する、との思惑が強まりましたが、プラチナ価格は底割れすることはありませんでした。同問題が発覚しても、プラチナ相場が底割れしていない理由について、筆者の考えを「プラチナ取引で知っておきたい3つの「勘違い」」 で述べています。
また、2020年3月、多くの主要株価指数、コモディティ(商品)銘柄が総売りとなった、“新型コロナ・ショック”の際も、リーマン・ショック直後の安値を短期的に下回ったものの、すぐに反発しました。
上記のことから、足元のプラチナ価格は、過去の高値と相当の差があるため、“上値余地がありそう”、強い下落要因にさらされても同ショック直後の安値水準を底割れしたことがないため、“下落しても下落幅は限定的になりそう”、と筆者は感じています。
2021年は、このような環境下でスタートするとみられます。プラチナはそもそも、価格水準の側面で、比較的、上値を追いやすい状況にあると言えると思います。