円高でも、日本株が売られにくくなった2つの理由

 円高は、日本の景気・企業業績にマイナス影響を及ぼします。したがって、これまで、円高が進むと日経平均が売られ、円安が進むと日経平均が買われる相関関係が、かなり深く定着していました。

 ところが、11月以降、円高が進む中、日経平均が急伸しました。これはかなり珍しいことです。私は、以下、2つの要因が円高下の日経平均上昇につながったと考えています。

【1】世界景気が回復に向かう期待が高まった

 日本の景気・企業業績に円高はマイナス影響を及ぼしますが、円高以上に、日本に大きな影響を及ぼすのが米国景気・中国景気です。

 中国景気は1~3月が底で、4月以降、回復が続いています。米国景気は4~6月が底で、以降、7月以降、回復が続いています。

 新型コロナの感染再拡大で、米国景気が1~3月に減速する懸念はありますが、それでもワクチンの大量供給が実現しコロナが収束に向かえば、年後半に世界景気の回復が加速する期待があります。

 米中景気の回復が続くと見られるようになったことから、円高でも日経平均は上昇しやすくなったと考えられます。

【2】世界的な金融緩和が長期化する見通しとなったこと

 米FRBが大規模な金融緩和を行っている効果で、世界的にリスク資産の上昇が起こっています。その一環で、日本株にも外国人の買い戻しが増えています。つまり、ドル安を招く、米FRBの金融緩和が株高を招き、日本株の上昇にもつながっているという面があります。