今週は見極めムードが先行

 また、今週は日銀短観や中国の経済指標の公表などが予定される中、15日(火)~16日(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)と、17日(木)~18日(金)の日銀金融政策決定会合が開催され、とりわけFOMCにおける追加金融緩和の有無が焦点になっています。

 追加の金融緩和を素直に受け止めて株価が上昇できれば良いのですが、株式市場は追加金融緩和を先取りして既に織り込んだ可能性があります。その場合、緩和アリで「材料出尽くし」、緩和ナシで「失望」売りとなることが想定されます。したがって、今週は見極めムードが先行すると思われます。

 確かに、先ほども述べたように、新型コロナウイルスワクチンの接種開始によって、コロナ克服による社会・経済の正常化への道のりを一歩進めたわけですが、その一方で、コロナ克服が具体的に見え始めたことにより、これまでの期待と現実とのギャップを埋めに行く一面も出てくることになります。

 ただし、その現実は国内外でコロナ感染者の拡大傾向が止まらず、実際の経済活動が制限されるケースも増えているなど楽観できない状況ですし、それに対処する政治面も、米国では追加経済対策を巡る与野党協議が難航している他、国内でもGoToキャンペーンが継続される中で医療崩壊も懸念されるというちぐはぐな状況となっています。政治面で進展がない限り、株式市場はしばらくの間、将来の期待と足元の不安とのあいだで揺れ動くというのがメインシナリオになりそうです。

 実際に、前回のレポートでも紹介したTOPIX(東証株価指数)のギャンアングルでも、下の図3のように、「コロナ克服」ラインとされる青いギャンアングルの8×1ラインを上抜けしきれない状況が続いています。

■(図3)TOPIX(日足)の動きとギャンアングル(2020年12月11日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成