エクスペリエンス・エコノミーの危機

 ディズニーに代表されるテーマパーク事業は、エクスペリエンス・エコノミー(経験経済)とよばれています。消費者に「エクスペリエンス(経験)」を販売するからです。飲食店ならば、食べ物の提供だけではなく、音楽や華やかな雰囲気やくつろげる照明など、消費者に質の高い世界観を販売するというのが、エクスペリエンス・エコノミーです。現代経済は、農業経済、産業経済、サービス経済を経て、経験経済に到達したといわれ,この分野は近年大きな成長を遂げています。

 しかし、新型コロナによってエクスペリエンス・エコノミー対する投資の多くが無価値になろうとしています。ロックダウンによってエクスペリエンス(経験)する機会が奪われたこともありますが、長期的には、多くの人々がそのような場所を訪問することに興味を示さなくなるように意識が変化しつつあるからです。

 会社に行って嫌いな人と同じ空間で過ごすよりも、家で一人仕事をしたほうが精神的に安定するという人は増えています。ワクチンが開発されたからといって、いちど変わってしまった意識は簡単に元に戻るでしょうか。新型コロナが収まったからといって、元通りにならない世界がある。テーマパークなどはその一つの例といえます。