コロナ・ショックが起こるまで景気の山谷がはっきりしない状況が長期化していた

 コロナ・ショックが起こるまでは、景気回復期間はとても長くなる傾向がありました。ただし、その中身をよく見ると、「景気後退まで至らない景気停滞」と「景気回復の実感のない回復」を繰り返していることがわかります。

 日本経済は、平成に入ってから徐々に「サービス化社会」に入りつつあります。製造業の影響が徐々に小さくなるにつれて、景気循環の波は、わかりにくくなってきました。

 日本経済では今でも製造業が重要な役割を果たしていますが、それでも製造業の影響力は年々低下しています。代わって、広義のサービス業・IT産業の比率が高まっています。製造業でも、製造そのものを海外にアウトソースし、開発やマーケティングに特化する「ファブレス(工場を持たない)」製造業が増えています。

 生産や設備投資が大きく増えたり減ったりする循環はわかりやすいが、サービス化社会の循環は、わかりにくいものです。消費が少し盛り上がったり停滞したりすることで起こる、「消費主導の循環」は、製造業の山谷に比べて、かなりなだらかです。

 ただし、コロナ・ショックが引き起こした景気循環は、ひさびさに輪郭のはっきりした山谷となりそうです。2018年10月に始まった「貿易戦争・コロナショック不況」は、久々の急激な深い谷でした。そこからの回復は、世間一般で思われているよりも、力強い回復となる可能性があると思います。そうなると、来年にかけて、日経平均は一段高となる可能性があります。3万円に到達する可能性も視野に入ってきます。

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