「自助」で備える老後資産形成が老後の豊かさをデザインする

 昨年2019年、大きな注目を集めた「老後に2,000万円」問題ですが、実のところ老後の日常生活費と公的年金収入はおおむね均衡しています(高齢夫婦無職世帯。総務省家計調査年報による)。

 そして、公的年金収入は終身でもらえるわけですから、日常生活費については基本的に収支のバランスが取れた状態で維持できることになります。公的年金のいいところはどんなに長生きしても「終身給付」というところです。ある程度インフレにも追随します(今はマクロ経済スライドの調整がありますが)。

 そうなると、何が不足しているかというと「教養・娯楽費」と「交際費」です。時々、美術展を見に出かけて食事をしたり、夫婦で年に一度くらい旅行に出かけたり、子どもや孫が遊びにきてくれたらおこづかいをあげたり、誕生日にプレゼントをあげるようなところに、「自助」の老後資産形成の努力が位置づけられ、がんばればがんばるほど、老後は楽しく豊かなものに変えられるわけです。

 これは大事なことで「共助では飲み食いすらできないから自助努力か」と考えるのと、「自助でがんばるほどに老後が幸せになる」と考えるのでは、老後資産形成のやる気はまったく違ってきます。