誰にも訪れる老い。予見しにくい長寿への備えの大きな役割

 現在のリタイア年齢はおおむね65歳となっていますが、そこからの老後は思ったより長いものです。65歳に達した男性の平均的な老後は約20年、女性は約25年あります。

 もちろん、平均よりも早く「お迎え」がくることもありますが、ずっと長生きをすることもあります。平均的な老後はおおむね「2人に1人」がまだ長生きをする年齢に相当するのですが、「4人に1人」はさらに5年程度、長生きをします。

 65歳の女性なら95歳ですし、もう少し寿命が延びれば「4人に1人は100歳」ということも十分にありえます。

 私たちはとかく非合理的判断をする生き物ですが、老後については「現実より短くイメージする」傾向があります。つまり過小評価です。若いころは自分が90歳まで生きるとは考えられません。大学生の頃だと「オレ、どうせ60歳には死ぬし」とか言って、保険料を未納していたりします。30~40代でも自分がまさか100歳まで生きるとは考えず人ごとです。

 しかし、お金のやりくりで「お金が足りなくなったので、ここで自分の寿命とさせていただく」というようなことはできません(できるとしたら、それはもはや星新一のSF小説の世界でしょう)。

 65歳の段階で、老後が何年か分からないにもかかわらず、仕事はリタイアすることになります。この経済的不安をカバーするのが「共助」である公的年金制度ということになります。