米大統領選の勝敗判明後に、なぜドル/円は動かなかったのか?

 今回の選挙は何となくしっくり来ない結末です。あるいは、まだ本当の結末が来ていないのかもしれません。この感触はこれまでの選挙とは違っており、少なくとも為替市場ではバイデン歓迎、もしくはバイデン失望の動きには至っていないようです。4年前のように、トランプ氏の勝利宣言後、政策への期待感が高まり、1カ月でドル/円が10円以上の円安になった動きとはかけ離れている状況となっています。

 しばらくは、コロナワクチン報道前と報道後のレンジである1ドル=103円台前半と105円台後半の動きになりそうです。ただ、このまま年内が終わるとも思えません。

 コロナワクチン効能のさらなる発表やバイデン氏の財政出動の具体策から米長期金利が1%を超え、ドル/円はレンジの上限をブレイクし、106円台、107円台に上昇するかもしれません。あるいは、コロナワクチン接種までまだまだ時間がかかると現実を直視して期待がしぼみ、またバイデン氏の政策効果が見極められないことから長期金利は低下し、レンジの下限をブレイクして102円台、101円台に下落するかもしれません。

 ではどちらに動くのか? 2度目のワクチン開発報道後のドル/円の上昇力のなさを見ると、下方に警戒した方がよいかもしれません。