2020年、前場で買って後場で売る戦略を行う投資家が増えた
もう少し、詳しく見ていきましょう。
2020年はコロナ・ショックもあって、日銀はETFの購入額を一時期大幅に増やしましたが、累計の値は2019年よりも小さくなっています。この要因について推測していきたいと思います。
今年に入ってから前場のTOPIXの動きを見ていると、日銀がETFを購入する1つの基準であるマイナス0.5%前後をウロウロとしている日が多いように感じます。そこで、2019年と2020年において、前場のTOPIXが▲0.55~▲0.45%で終わっている日数を実際に調べてみると、次のようになっています。
2019年:15日
2020年:23日(1~10月、年換算27.6日)
2020年のほうが年換算で2倍近く多くなっています。これは、0.5%以上のマイナスになったときに日銀がETFを買ってくるので、午前中に日経平均先物やETFを買って、日銀の買ってくる午後に売ろうとする動き、もしくは、日銀が午後にETFを購入してくることを見越して午前中にETF組成のために買いを入れる動きがあり、2020年は2019年以上にその動きがあったのではと推測しています。
そのような動きが多くなると、前場に買いが入る分、午前中の日経平均が下がりにくくなっていると考えられます。
そこで、2019年と2020年とで、日銀がETFを購入した日の日経平均の前場終値が前日比0.5%までのマイナス、もしくはプラスとなっている日数を調べてみると、次のようになっています。
2019年:10日
2020年:15日(1~10月、年換算18日)
こちらも2020年のほうが年換算で2倍近い日数となっています。
このことから、日銀がETF買いをした日の後場のみの日経平均株価の値動きの累計値が2019年よりも2020年のほうが小さい要因は、前場で買って後場で売るという戦略を行う投資家が増えたため、前場の日経平均が支えられる一方で、午後の上昇が抑えられたと考えられます。