NYダウは「コロナ克服への期待」で一段高

 また、「コロナ克服への期待」の織り込みと言えば、NYダウ平均株価の動きが分かりやすいです。

■(図3)NYダウ(日足)の動き(2020年11月13日取引終了時点)

出所:MARKETSPEEDⅡを元に筆者作成

 NYダウの動きをたどると、「選挙前の警戒」で下落した後に、「選挙通過による楽観」で反発し、そして、ワクチン報道をきっかけに「コロナ克服への期待」で窓空けによる一段高という動きが明確です。

 ただし、日経平均とは異なり、一段高した後のNYダウの上昇は一服し、結局は2月のコロナ・ショック前の高値水準のところで、ひとまず様子をうかがっている印象です。

 確かに、ファイザー社のワクチンは、早ければ11月第3週にもFDA(米食品医薬品局)に緊急使用の許可を申請するとされているため、思ったよりも早く実用化に向けた動きにはなっていますが、その一方で、「検査対象の90%に良好な結果」の詳細が説明されていないことや、このワクチンがマイナス70度~80度の低温を維持して保存する必要があるとされており、普及スピードや安全性などに課題が残されています。

 そのため、実際の経済回復スピードが市場の期待に沿うかはまだハッキリせず、「コロナ克服への期待」をもう一段階進めるには新たな好材料が必要ですし、上昇の際に空けた窓を埋めにいく展開には注意しておく必要があります。

 なお、今後のNYダウについては、6月8日と9月3日の高値同士を結んだラインを基準に平行線を描いたレンジが値動きの想定範囲になります。