売買代金ランキング(5銘柄)

1 BASE(4477・東証マザーズ)

 歴史的なマザーズラリーのシンボルストックになったのは文句無しBASEでした。10月の月間騰落率は2.2%ですが、すさまじいエネルギーを伴った“往って来い”の1カ月に。9月末の終値1万1,000円に対して、10月8日に付けた上場来高値は1万7,240円! ここをピークとして調整にひっくり返り、10月末の終値は1万1,240円でした。

 上場来高値を付けた8日の出来高は、上場来最大の438万4,200株。売買代金は671億円で、この日のマザーズ市場全体の約2割を占めました。「あの猛烈な上昇と、出来高は誰がやったの?」と疑問に思うところでしたが、正解は“外国人”だったようです。この日を含む10月第1週(5~9日)、マザーズ最大の買い手は外国人(過去最大の週間244億円買い越し)でした。海外のヘッジファンドがBASE中心に主力ネット株の高値を演出し、個人投資家も群がったところで翌週ドテン売りに転じた、そんなところでしょうか…。

2 メルカリ(4385・東証マザーズ)

 マザーズ指数が年初来高値1,368ポイントを付けたのは14日、メルカリが年初来高値5,930円を付けたのも14日。メルカリといえば、マザーズ指数の“ユニクロ”的存在で、指数ウエイトは約10%あります。そのメルカリ株が10月に入って上げが加速し、14日の高値まで22%上昇しました。この株が22%上昇したというのは、マザーズ指数を2.2%押し上げるということ。

 マザーズ指数は、メルカリをけん引役として高値を切り上げ、月後半はメルカリの異様な弱さとともに水準を切り下げたともいえます。21~26日は4日連続で3%以上の下落率を記録。前述のBASE同様、海外ヘッジファンドの短期マネー流入も巻き込んで高値を切り上げたものの、ドテン売りでトレンドが反転したものと想像されます。

3 ジーエヌアイ(2160・東証マザーズ)

 マザーズのバイオ株で時価総額トップに浮上していたジーエヌアイ。市場の期待は、「10月16日」に集中していました。というのも、9月29日のリリースで、最有望パイプライン「F351」についての戦略的方向性の開示を10月16日にすると予告していたため。こういう形で告知してしまうと、短期の投資家たちにとっての“イベントドリブン”になってしまいます。同社株に関しても、期待して買い持ちしていた投資家が多い状態でした。

 注目された16日のリリースで同社が発表したのは、(1)「F351」についてCDE(医薬品審査評価センター)など当局への相談に向けて準備していること、(2)次の段階に進むのはおおむね2021年第2四半期ごろになる見通しだということ。順調に進展しているように見えますが、同社が日付を予告していたのがあだになったと思います。想定より時間がかかると判断されたのか、短気な短期筋は失望売り。16日終値で3,890円だった株価は、月末には1,800円と、リリース前の半分以下に。

4 マクアケ(4479・東証マザーズ)

 マザーズ指数に逆行して、10月も月間で二ケタの上昇率を記録しました。月間騰落率がプラスとなるのは、4月以降7カ月連続。この7カ月の中でも、とくに上昇率が大きかったのが4月の+49%と、7月の+41%です。いずれも決算発表への期待と、それに応える好決算を出してきました。決算のポジティブサプライズを伴って、決算とともに上昇してきたのがマクアケといえます。

 27日に発表した本決算では、前2020年9月期はコロナ禍でのECサイト利用拡大により、売上高が前期比2.4倍、営業利益が同4.1倍に。さらに、同社が開示した今期見通しでは、売上高を前期比60%増の51.7億円、営業利益を同22%増の6.2億円。このくらいの成長分は織り込み済みかと思いましたが、発表翌日はギャップアップで始まり上昇来高値も更新。マザーズ全体の地合いが悪化するなか、数少ない高値更新銘柄としてトレンドフォローの買いが集中しやすかった側面もありそうです。

5 出前館(2484・ジャスダック)

 決算発表翌日のリアクションが、意外な方向へ強く出るケースはありますが…今回の同社の決算プレーは典型例。15日の引け後に本決算を発表し、今2021年8月期は売上高が前期比2.7倍の280億円、営業利益が130億円の赤字(前期は26億円の赤字)でした。コロナ禍で宅配需要が急増し、売上高が伸びる一方で、高水準の広告宣伝費や運営コストが収益を圧迫するようです。今は、決算数値を定量的にAIがスコア化するようなシステムがあります。そのシステムの判定では、かなり悪いスコアが付いていたのですが…。

 発表翌日16日は、決算失望気味に前日比マイナスで開始。ただ、その後まさかの急騰となり、ストップ高に(前日比+23%)!「同時に発表した中期経営計画で、2023年8月期に120億円の営業黒字に転じる見通しを出していたのが良かった」など後講釈は付きましたが、ストップ高した翌日は大幅安…。あのストップ高は何だったのか? という感じですが、出前館は信用倍率が0.2倍程度の売り長銘柄です。高値圏でのショートカバーを誘発する目的で、決算後に仕掛け的な買いを入れた短期筋の影響が大きかったのかもしれません。