4日の米国株が大幅高になった理由

 4日のNYダウは、367ドル高の2万7,847ドルでした。バイデン勝利の早期決着への期待から選挙前に大幅高となった2日(423ドル高)・3日(554ドル高)に続いて、3連騰です。

 米ナスダック総合指数は、さらに大きく上昇しました。4日は430ポイント(3.9%)高の1万1,590ポイントとなりました。NYダウと同じく3連騰ですが、2日(0.42%高)・3日(1.9%高)よりも、上昇率が高くなっています。

 これには、2つ理由があると考えています。

【1】決着に時間がかかっても、バイデン勝利で決まる可能性が高いと考えられている

 勝者がバイデン氏でもトランプ氏でも、大統領選が終わった以上、コロナ対策をやらずに法廷闘争に明け暮れるわけにはいかないと考えられます。いかなる決着にせよ、イベントを通過したことへの安心感が株式市場に広がりました。

【2】上院は共和党が過半数を維持する見込み

 大統領選と同時に行われた議会選も、接戦でした。下院は、民主党が過半数を取る見込みですが、上院は、共和党が僅差で過半数を確保する見通しとなっています。

 当初、バイデン氏が大統領になり、下院も上院も民主党が抑える、完全な民主党支配が実現するとの予想もありました。そうならなかったことを、4日の株式市場は、かえって好感した形となりました。

 民主党が圧勝すると、GAFAなど、大型ハイテクの分割や規制導入の議論が進むと考えられていました。議会で、共和党が一定の勢力を保てば、ハイテク規制を抑制すると考えました。それが、4日のナスダック大幅高につながりました。

 議会で共和党が一定の勢力を保つことで、民主党が主張する法人税引き上げの幅が抑えられるとの期待もあります。

 さらに、民主党が強すぎると、大型の財政出動をやるため、長期金利が上昇すると考えられていました。議会で共和党が一定の力を持てば、それも抑えられるとの思惑から、長期金利が低下しました。長期金利低下が、さらに米国株を押し上げる要因となりました。

 以上が、11月4日の米国株市場の報告です。大統領選はまだ決着していませんし、株式市場の反応も、今後変わる可能性があります。引き続き、本欄で、大統領選について、報告を続けます。

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