初心者には「生活必需品」と「一般消費財」セクターがオススメ

──初心者が次に、セクターETFにステップアップするとしたら、やはりご自身が保有している「VGT」と「VHT」でしょうか?

 そこは難しいところですね。情報技術産業とヘルスケア産業が伸びるのは間違いないと思いますが、どちらも一般の人にはとっつきにくい分野ですよね。どんな企業があるのか、社長はどんな人なのか、米国ではどんな立ち位置なのか、今後どういうビジネスプランを持っているのか…なかなか日本からは見えにくいですよね。

──そういうセクターは初心者には向いていないんですか?

 自分が理解できない分野だと興味を持ちにくいですよね。ETFのよさは株式投資の醍醐味を感じられることや、個別株投資の練習になることだと言いましたが、興味が持てないと価格の変動をチェックしたりするのは相当大変。やる気も続きにくいのではと思います。そういう意味では、もっとわかりやすいというか、身近に感じられるセクターを選ぶといいんじゃないでしょうか。

──S&P500のセクターは11あるんですよね。ほかの9つはどういうセクターなんですか。

 前回、「公益」と「金融」、「素材」の3つを例に挙げましたが、ほかに「資本財」「エネルギー」「不動産」「コミュニケーション」「生活必需品」「一般消費財」があります。

著書『今だからこそ始める! 本気で稼ぐ株式投資の教科書』内でも詳細に説明されているS&P500指数の11セクター。それぞれの代表的企業も記載されており、イメージがつかみやすい

──その中で身近なセクターというと…?

 まずは「生活必需品セクター」と「一般消費財セクター」でしょう。前者はP&Gコカコーラペプシコ(ペプシコーラの会社)、コストコなど、後者はアマゾンマクドナルドナイキなど馴染みのある企業で構成されていますし。

──確かに、日本でも知名度があり、イメージしやすいですね!

 はい。この2つのセクターなら、初心者でも楽しく投資できるんじゃないかと思います。

 ちなみに「生活必需品セクター」は景気に左右されにくい「ディフェンシブ銘柄」で、「一般消費財セクター」はどちらかというと景気に左右されやすい「シクリカル銘柄(景気敏感株)」です。ですから、この2つを保有していると、景気がいいときは「一般消費財セクター」が全体を押し上げてくれて、景気が悪いときは「生活必需品セクター」が下支えしてくれます。

 その2つの投資経験があると、今後投資をしていく中で経験するであろう好景気・不景気に対しての経験を積むことができます。

──バンガードのシリーズだとそれぞれどういう呼び名なんですか。

「生活必需品セクター」は「VDC」、「一般消費財セクター」は「VCR」です。

──成長性を重視したい人は「VGT」か「VHT」、安定度や分かりやすさを重視したい人は、まずは「VDC」か「VCR」を検討してみるとよい、ということですね。

 はい。ただし、それら以外の7つもそれぞれよさがありますから、ご自身がお勤めの業界や、取引先に多いセクター、学生時代の専門分野だったなど、親しみがあるセクターなどがあれば、調べてみるといいと思います。

──ETFについてはよく分かりました。次回は個別株投資についてお伺いします。

 

 

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